第2話 きいの価値観


セクシャリティは強いていうなら不定形に近いXジェンダー。


「女の子らしく」を強要されるのはきらいだけど、可愛く生きるのは楽しい。一人称は「わたし」だけど「僕」のときもある。きいくんになりたいときにはそうする。


恋愛対象は女の子のほうがすきだけど、男の子にもまったく抵抗はないからバイセクシャル。だけど中性の子のこともすきになるからパンセクシャルなのかな。



可愛いワンピースがすきだからフェムだけど、カジュアルでボーイッシュな格好もすき。どんな髪型にもできる。相手の年齢に関係なく甘えるのがすきなネコ。だけど可愛い女の子には、ちょっといじわるしたくなっちゃうタチ。そしてたくさん話すのがすきなのが「わたし」



どっちでもいい。

どっちでもすき。



それってそんなにおかしなことかな。みんながそれぞれ楽しくて、みんながそれぞれ幸せで、みんながそれぞれ愛情たっぷりなら、それで良いんじゃないかと思う。世の中のことを考えてないって言われがちだけど、それは正直どうでもいいや。


バイセクシャルとか、LGBTQとか、ジェンダーだとか、そういう枠組みにあてはめることは簡単だけど、それ自体にはそこまでの意味はない。


それにXとかジェンダーとかパンセクとかレズビアンとか、そんなジャンル分けの言葉で理解してもらうよりも、遊んで、話して、おやつを一緒に食べて、触れあって、わたしの性格を知ってもらうほうがよっぽど嬉しいもん。


どんな肩書きがついたとしても、わたしはわたしのままで、なにひとつ変わらない。女の子もすきだし、男の子もすき。どっちじゃなくてもいいし、どっちであってもいい。それが変わるわけじゃない。わたしのことを愛してくれるなら、なんでもいいし、こだわらない。



わたしは「きい」

本名は「柚稀ゆずき



家族や友達は「ゆず」って呼ぶけど、わたしは「き」を伸ばした方が響きが可愛いとおもってるから、特別な人にだけ「きい」って名乗る。一人称もちょっと子供っぽいけど「きい」になる。


「きいちゃん」って呼んでもらうと嬉しい。だって自分で選んだ名前を特別な人に愛してもらえるんだもん。そりゃあ嬉しいよね。

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