第43話 捕縛作戦
セデスたちを捕縛するため、まず、艦隊をわざと島の周りに囲ませることにした。逃げ道をふさぐ事そして、リーベンデールの介入を避けるためだ。彼らがどのような力や方術があるか手の内がはっきりしないこともあったからだ。まず、仁軌を海側の艦隊に配備して、月涼たちは、王族のルートから追い詰める。その間に、多方向からリーベンデールが何かしでかさないように城内も警備を増やすように徹底した。
「よし、賽は投げられたね。出発しようか。」
月涼の掛け声に、みなが一斉に配置に移動する。
「陛下は、ここで、お待ちください。必ずセデス様たちをここへ連れてまいります。」
「ああ。だが、其方を傷つけた者たちだぞ。自身で動くのは良いのか?」
「当たり前です。自分にされたことは、倍にして返しますよ。あは。」
ラダルは、月涼の言葉に苦笑いしながらも謁見の間で待つことを了承した。そして、作戦は、見事に成功した。
セデスたちは、やはり、島で身を隠していたのだ。そして、ソニアの海図をまとめて輸送する準備までしていた。
「兄上…。国を売るつもりですか?」
「何のことだ…。」
「そこにある。それは、母上が嫁ぐ前に残した海図ですよね。」
「あー。床に散らばっていたのを整理したまでだ。なぜ、私がそんなことをしなくてはならない。」
「ふ、見え透いたことを我々に刺客まで送って、いったいどこへ行くおつもりでしたか?リーベンデールですか?それともこの国を乗っ取り、青華国を制圧でもするつもりでしたか?」
その言葉に、セデスは後ずさりしながら、退路を見つけようと妻であるトルテアに合図する。
「セデス殿下。お子は?どうされたのですか?」
リュートがセデスたちを追求する最中、月涼だけは、その場に妙な違和感を感じていた。
「お前は、誰だ?リュートのそばに立って偉そうに。」
「ああ。申し遅れました。貴方の義理の妹となったリァンリーこと月涼と申します。それより、先ほどの私の問いには答えていただけませんか?」
「ふん。なぜ答えねばならぬ。」
「う~ん。そうですね。セデス殿下とトルテア様は、今から捕縛されますし…。お子の面倒は見ようかと。」
しれっと答える月涼にトルテアが反論する。
「あ、あ、貴方になんか!!預けるわけないわ!!自分が皇后になるからと思って大きく出てるんでしょ!!」
「はあ~。人の命を狙うようなことを考える人が皇后のような重責を担う方になれるとでも?まあ、私は、そんな地位なんてこれぽっちも欲しいとは思っていませんがね。」
「え?リア。それは、困る…。」
「リュート。今、そんな話は、良いから。」
ちょっとした痴話げんかに発展しながらも二人に詰め寄り続けた。その時だった。どこから現れたのかリーベンデールの聖座が姿を現す。
「せっかくいろいろと仕込んでおいたのに…駄目ですね。あなた方は、まあいいでしょう。収穫もありましたし。子供はいただきますが…。良い器の様ですしね。では、あ!リア殿、貴方の事は、あきらめませんよ。竜の力も手に入れていますし、リーベンデールの国母にふさわしい方ですから。近いうちに迎えに上がります。では…。」
そう言い残すと瞬く間にリーベンデールの聖座は消えるのだった。
『あれは、幻影?』その場にいた皆が首をかしげる。
「あれだ。あの石から出ていた映像だろう。」
「どうやら、このお二方もあの石の存在すらわかっていないようね。リュート。とりあえず、捕縛しましょう!!」
青華国と水晶龍に見初められし妃たち 華楓月涼 @Tamaya78
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