第42話 ソニアの残したもの
「おびき出す方が早いのか?乗り込んで拘束するのか?経路によって変わる?そう思って聞いているのか?」
「はい。陛下。それと…。ここに軍事情報のようなものはございませんか?有れば、それはかなり危険な状況を生みます。」
「軍事情報?その様なものは…。」
少し思案するラダルに、仁軌が先に反応して月涼に問う。
「月涼、この島にそんなものがあると何故、推測するんだ?」
「王族が、秘密裏に安息する場所は、何も休みたいからだけではないからね。仁軌さん。一人になってしなければならない時のためでもあったり…。趣味が高じて隠す場所であったりね。そして、この国の秘密情報を隠す場所であったり…。」
仁軌がなるほど…。と頷きながらラダルの顔を見た。ラダルは、何か思い立ったのか独り言を言う。『趣味が高じて…。海図…ソニア…。』
「軍事機密ではないが…。ソニアが書きなぶった…海図を残している部屋がある。それぐらいだが…。」
この言葉に月涼が食らいつく。
「陛下…。それは、この国を揺るがしかねない物になります。あぶりだしている際にそれが、リーベンデールに渡れば、この国が制圧される可能性もあります。」
「まさか…。あの国は、海軍も持っていないだろう。実際、ここにきている輩も宗教普及だと言って数人だ。」
「今は、ですが、この先どうですか?その海図をもとに、魔法石のもとになる水晶を掘り出すために、この国を侵略しないとは言い切れません。もしくは、もう、準備に入っていて、今回の事件を起こしているのかもしれないのです。」
月涼の見通しに、皆が、唖然としながらもあり得ないことではないと思い始めた。なぜなら、月涼が負傷した事といい、かなり用意周到に流れができていたからである。ルーランという間者にしてもそうだ。侵食するかのように忍び寄り、用意された状況に知らぬ間に、手中に落とされたかもしれないのだ。
「リア。君の見通しは、分かった。で、これからどうするかだな。」
「ええ。リュート。だけど、陛下にもう少しお話させてください。」
ラダルが軽く頷く。
「うむ。」
「陛下、まず、先ほどから、言っていたこの島への経路です。話しながら考えていたのですが、この宮殿にも海道がつながっていますよね。そして、王族専用のものがあるかと?その中にここへ通ずる場所があるんじゃないですか?王族だけしか通れないそんな道が…。」
ラダルは、目を見開いて感嘆の声を上げていう。
「そこまで分かっていたのか?」
「いえ。分っていたのではなく推測の域は出ておりません。」
「ある。この真下だ。しかも、王族の血がなければ通れない道だ。」
月涼は、この答えに満足そうに微笑んでから、仲達や藍と重慶にやっと、声をかけた。
「藍、ご苦労様。情報は、纏められた?」
「おい。おれも働いたぞ月涼。」
「重慶。まったく、自分の国も治めないで…。ったく首突っ込みすぎだよ。仲達様もお疲れさまでした。」
「重体と聞いて焦ったぞ。」
和気あいあいとした雰囲気にその場を戻してから、王宮真下の海道を使ったセデス捕縛作戦を始めるのだった。
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