第35話 チビと嗣子

少し、落ち着いたリュートが話に入って聞き返した。


「それより・・間者が紛れ込んでいると?」

「ええ。どう考えても・・・。誰かが情報を流しています。」

「だが・・・かなり、厳選して連れてきたはずだろう?リア。」

「・・・。」


仁軌が重くなってくる雰囲気を察して話を変えようと月涼の体をどうするか聞いた。


「誰か、見当がついてそうだな。とにかく本体の体が動かないとな・・・。」

「こればかりは、自分でどうもできませんしね~。」


その話に今度は、嗣子が割って入った。


「だから、僕が治せるっと言ってるじゃない。早くここから出してよ。」

「えっ?今の声は?」

「あ~嗣子だよ。リュート。」

「嗣子?ってことは、アーロンの息子?」

「うん。」

「じゃあ。ここに投影されているのが?嗣子なのか?」

「う~ん?どんな風に映ってるのか見えないから・・・ごめんね。なんとも言えないかな?」

「あ~あ。僕が治そうと思ったけど・・・そこの豹・・・。とっとと、月涼を解毒してもらえないかな。出来るでしょ。」


嗣子の言葉に皆が驚いてチビを見た。これには、チビ自身も少し驚いたが少し偉そうな嗣子の言い方にチビは、ムッとして言い返した。


「ああ。ここなら出来そうだよ。ったく。子供のくせに偉そうに・・・。俺は、お前よりかなり先輩だぞ。それに、意識体と意思の疎通もできるか分からない時点で、はい、治しましょってなるか?普通。」

「ちょっと長く生きてるだけじゃないか~!!」

「ちょっとちょっと。嗣子も興奮しないで・・・。」


リュートも仁軌も月涼が治ると分かり胸をなでおろすのだった。


「とりあえず。リュートに仁軌、月涼の体を守りに戻ってくれ。俺は、ここから解毒と浄化をする。少し力が必要だから・・・時間がかかる。月涼が戻ったらすぐにここへ連れてきてくれ。」

「ああ。分かった。すぐにでも・・・。」


そう言うとリュートたちは、足早にイヤシロチを後にした。


「さあ。治療と行きますか・・・。月涼。」

「助かる。ありがとうチビ。」

「まず、こちらのともっと同調させないといけないから俺の声のする方に集中してくれ、その後、青華蝶がそっちに現れたら成功だ。いいな?」

「分かった・・・。」


チビと月涼が意識を集中させて解毒を試みている間、リュートたちは月涼の体に変化が現れないか注視して過ごしていた。数時間ではさすがに何の変化も見られるわけがなくそれは数日を要した。そんな事がリンゴ島で起こっている最中、藍たちは、水晶採掘場に到着し、魔法石についてと使者たちの足取りを確認するのだった。


「藍。さっき言いかけた話だけどな・・・。間者がいるんじゃないかって話。途中でやめたけど。実は、俺も気になっていた。先回りされているような気がしてな。」


仲達がそう答えた時だった。








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