第31話 魔法石

セレベス王城では、リンゴ島での出来事で大騒ぎとなり、セデスの祝祭どころではなくなった。同時に、やはりセデス夫妻の行方不明は明白となりラダルのいら立ちは頂点に達した。セデスたちを探す為、王国内で一斉の捜査も始まった。


「クルトラですら立ちまわれないとは・・・かなり綿密な計画だ。」


ラダルは、自分の判断の甘さを痛烈に感じながら、仲達たちを呼び陳謝した。


「すまなかった・・・ここまで、綿密に公で襲うとは・・・。思ってもみなかった。王位争いとはいえ、露骨すぎだ。しかも、わが国まで巻き込んでの内乱とは・・・。何が狙いだろうか。あの二人をここまで争わせて、リーベンデールの者たちに何の得があるのだ?青華国の建国とリーベンデールの今とどうつながる?」


「そこです。リーベンデールは、鎖国していた為・・・我々は、あまりにリーベンデールの情報を持っていない。青華国は、元をたどればリーベンデール国王族が開いた国です。その事が今回の鎖国を廃止したこととどうつながるのか?その事情が分からぬことには、今回は、ただの王位争いで片付いてしまい、どちらかが倒れれば終わりです。青華国からもリーベンデールに密使を派遣しましたが、一朝一夕で分かることでもないでしょうし・・・。」


仲達も悶々とした面持ちでラダルに答えるしかなかった。その会話に重慶が入りリーベンデールに行ったっと時の話をするのだった。


「鎖国廃止となってすぐに行ったことがある数週間ほどだがな。思ったより国は、栄えていて他国との交流がない割には、発展した国に感じたよ。あの国は、方術を発展させて閉じ込めた魔法石というものをよく使うんだ。少しその点は、青華国と似ているな。」


藍は、この話に魔法石というものにヒントがあるような気がしながら重慶の話に聞き入った。

重慶の話によると魔法石は、青華国の水晶自体の力を引き出すのとは違い、後から方術で一定の力を水晶自体に注入して魔法石に変化させるという事だった。例えば水を利用する場所に水が無ければ、そこに大量の魔法石を用意して水場を造等という事だった。利用の仕方は、正反対だったと・・・。方や青華国は、水晶から引き出せる力で、その人物に合ったものを選びその力で防御したりすることが主流である。それ以外の使い方は、方術学校で身体を回復させたりするために使うなどだ。


「本当にすごかったよ。火もその石を使って熾すんだよ。それで、調理とかに使うのが一般的で、各家で、普通に与えられてて使っていて便利だったのを覚えてる。だが、その魔法石が作れなくなり始めていると噂が出てたんだ。鎖国を廃止したのと関係あるんじゃないかと思うんだが・・・。あくまで、噂のいきだったからあまり考えずに帰国したんだけどな・・・。」

「な・・・なんですか~感じなところなのに!!そこでしょそこ!!必要な情報は?」

「なっ!!おまえな~藍。いくら夫婦で過ごしたからって、なんだ、その態度は!!」

「何言ってるんですか、勝手に船に乗り込んでついて来たくせに!!」

「まあまあ、まてまて、二人とも・・・。ラダル王の前だぞ。」


痴話げんかを制止した仲達がラダルにも意見を求めた。


「ラダル陛下は、今言っていた、魔法石の存在は御存じですか?」


ラダルは、少し、思い出しながら徐に侍従を呼んだ。


「そう言えば、使者が持ってきた箱があったな・・・興味がなく見ていなかったが・・・持ってきてくれ。」


侍従は、足早にその箱を取りに出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る