第26話 浪人生、複雑な朝を迎える

 新しい朝が来た。


 はい、異世界三日目です。


 いい天気だ。


 うん、清々しい。


 同時に俺は複雑な気持ちだよ。


 まず、同じベッドに冒険者三姉妹が寝てたこと。


 これはまあいい。昨日の流れから同じベッドになりそうだとは思ってたし。


 アイ、マイ、ミーの三人もそれほど気にしてないみたいだからね。


 ただ、俺の下のジャージが何故か脱げてるんだよ。


 トランクスごと。


 ベッドの上を探したらすぐ見つかったけどもさ。


 アハハ、ジャージの上にポヨがグデッと座ってるわ。


 こいつが邪魔して取れねえ。


 頭に血が上ったけどグッと我慢して俺は言ったよ。




「ああ、ポヨさんや。君はいったい何をしてるのかな?」




 すると、スライムがこう答えたわ。




「┅┅ん、コータの下半身にハリが見られる。おそらく、昨日の疲れが残ってる。マッサージが必要」




 うん、そうじゃないかと思ってた。


 これね、ちょっと下ネタになっちゃうけど朝立って言うんだわ。


 でも、君に言うとさらに面倒臭い事になりそうだから言わないよ。


 まずはジャージとトランクスを取り返そう。


 幸いにも冒険者三姉妹のアイマイミーはまだ寝てるしね。




「大丈夫だからジャージ返して」


「┅┅ん、無理」


「どうしてかな?」


「┅┅ん、マッサージの邪魔」


「いいけえ、返せ」


「┅┅ん、脅しには屈しない」




 この腐れスライムが。


 しかし、俺は学んだ。


 こいつは俺をからかって遊んでるだけ。


 無視してればいずれ飽きる。


 その時に取り返そう。


 俺はポヨに背を向けて言ってやった。




「じゃあ、一生俺のジャージの上に座ってろや」


「┅┅ん、それはイヤ」




 おっ、意外と早く退いてくれそうだ。




「じゃあ、ジャージとトランクス返せよ」


「┅┅ん、それは無理」


「じゃあ、一生そこにいろ」


「┅┅ん、コータ、それも無理」


「じゃあ、退けよ!」


「┅┅ん、わかった」




 そして、ポヨは本当に退いてくれた。


 ごねたくせに、どうしたんだろう?


 そして、ポヨはジャージの上から退くとすぐに寝ている猫耳冒険者達を起こしていった。




「┅┅ん、みんな起きる」


「おはよう、ポヨちゃ┅┅」


「ふぁ~あ、おはよーさん!?」


「どうしたのお姉ちゃん達固まって┅┅」




 同じベッド。


 俺の下半身はむき出し。


 腐れスライム以外は若い娘さん達。




「「「キャーーーーーー!!」」」




 まあ、こうなるよねえ。




「┅┅ん、コータ。今がチャンス」


「何のチャンスだよ?」




 仕方ないので俺はポヨの頭に乗ってるチューリップハットを借りて下半身を隠したよ。


 何故かポヨがスライムのクセに愕然とした表情を作ってたけど気にしない。


 だいたい、人のジャージを剥ぎ取るお前が悪い。




「┅┅ん、ポ、ポヨのチューリップハットが精液まみれに?」


「やかましいわ!」


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