第25話 浪人生、スライムの罠にはまる

 大きなベッドでスヤスヤと眠る猫耳冒険者アイマイミーの三姉妹。

 まさか、俺が錬金術で作ったポーションに睡眠薬が混ざってるとは。

 これ、異世界でも犯罪だよな?

 王宮付き錬金術師になる前に刑務所送りになるのでは┅┅

 よし、その時はポヨのせいだとお巡りさんに説明しよう。


「┅┅ん、コータ。早くする」

「何をだ!?」

「┅┅ん、禁断のナニ」

「もう、ちょっと黙ってろ!」


 いい加減、スライムに振り回されるのはやめよう。

 眠らせた美少女に何かしたらとんでもない犯罪になることくらい、浪人生の俺でも知っとるわ!


「┅┅ん、コータ。ここは異世界。どんな浪人生の夢でもかなう」

「浪人生限定なの!?」

「┅┅ん、ご主人様は浪人生のコータの望みをかなえてやるって」

「俺の望みって何だよ?」

「┅┅ん、世界征服とハーレム」

「今まで生きてきて一度も考えたことないが?」


 おいおい、やめろ。

 スライムなのに驚愕の表情作るの本当にやめろ。

 ちょてょ、笑ってしまう。


「┅┅ん、コータは日本の男なのに世界征服とハーレムを望まないとか異常」

「いや、逆に望む方が異常だと思う」

「┅┅ん、あり得ない」

「とにかく、セクハラは無しだ。ところでさっきのポーション、体に害はないんだろうな?」


 何か熟睡してるアイマイミーを見てると心配になっちゃうよ。

 揺すっても起きないし。


「┅┅ん、ただのクロロホルム。全く問題なし」

「日本だと犯罪だからな」

「┅┅ん、コータはハーレム嫌い。次からは眠らせるのは一人にする」

「いや、人数が問題なんじゃねーから。無理やり睡眠薬で眠らせるのがダメなの」

「┅┅ん、眠らせないと抵抗される」

「だから、それがダメって言ってるんだよ!」


 このスライムは危険だ。

 常識を一から教えないと。


「┅┅ん、女は一度抱かれるとその男を好きになる」

「どこのエロ同人誌の話だよ?」

「異世界の常識」

「えっ、マジで?」

「┅┅ん、嘘に決まってる。コータはやっぱりバカ。浪人生なのも必然」


 俺はスライム相手に再び決闘を始めたのは言うまでもない。

 だが、かすりもしない。


「はあ、はあ、はあ、クソ、当たらん」

「┅┅ん、コータの蹴りはまだ甘い。もっと、練習しなきゃダメ」

「いやいや、お前が俺を怒らせなきゃいいだけの話なんだが?」

「┅┅ん、今日はここまで。明日は早いからこれ飲んで疲れ取る」


 そういうとポヨは俺が作ったポーションを差し出してきた。

 状態異常回復ポーションだ。

 仕方ない。

 俺はラムネ瓶に入った液体を飲み干す。

 意外と美味い。

 だが、急激に眠くなってきた。

 あっ、忘れてた。これ、睡眠薬入り。

 薄れゆく意識野中で俺はポヨの笑い声を聞いた気がした。


「クククク、明日の朝が楽しみだポヨ~ン」


 いや、誰だよお前?

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