第21話 浪人生、初めての錬金術(準備編)
カレー、美味かったー。
みんなの感想も「美味しい美味しい」の大好評。
そんなこともあって食後の雑談も大盛り上がり。
いつしか、カレーに匹敵する食事は何かとか逆に不味い食事はこれだみたいな話になる。
そうして、ワイワイガヤガヤ雑談してたら暗くなってきた。
とりあえずテントに入るか。
「┅┅ん、コータ。寝る前にはホットミルク」
「ねえよ、そんなもん」
エビデンスゴータマ作のスライム型魔法生命体ポヨに思わず突っ込んでしまう俺。
ホント、こいつはスライムのクセに美食家だよ。
でも、ミルクって異世界でも飲むんだね。
またひとつ賢くなった。
「┅┅ん、錬金術」
「錬金術で牛乳なんかも作れるの?」
その時、俺の頭の中でエビデンスゴータマ情報が駆け巡る。
結論から言えば作れる。
もちろん、材料がいるがね。
カルシウムやたんぱく質、脂質や炭水化物といった牛乳が持つ成分を持っていれば簡単に作れるそうだ。
でも、そんなの持ってるわけがない。
しかし、そこで諦めないのが異世界の錬金術。
どんなものにでも変化する万能材料を作り出したのだ。
その材料名とはズバリ┅┅
『賢者の石』だ!
うーん、素晴らしい。異世界あるあるだね。
まさか賢者の石とは。
『┅┅ん、コータ。早く賢者の石出す』
錬金術に詳しいポヨが俺を急かす。
こいつはもう牛乳を作り出すには賢者の石が必要だと気付いてる。
でもなー。
「なあ、ポヨ。エビデンスゴータマ情報を検索したら、賢者の石って超レア素材って出てきたんだけど?」
「┅┅ん」
「それを使ってホットミルクを作るのはもったいなくないか?」
「┅┅ん、これはコータの錬金術を試す課題。いい練習と思うべき」
なんか偉そうな事を言っておりますスライムが。
まあ、いいか。
俺はテントの大半を占めているベッドの上に賢者の石を出すことにした。
エビデンスゴータマのマジックバックに手を突っ込み念じる。
賢者の石、と。
すると、手応えがあった。
嫌だけど仕方ない。
ベッドの上には猫耳三姉妹も何が始まるのかワクワクしながら眺めてくる。
驚くだろうなあ。
先に謝っとこう。
「あー、みんなゴメン。これから錬金術の材料になる賢者の石を出すんだけど、きっと驚くと思うから謝っとくね。怖い人は目をそらしていて」
「賢者の石って聞いたことあります」
「ウチも聞いたで! 何でもSランクの素材やろ? 小石ほどの大きさで金貨1000枚やっちゅう話や」
「そんな凄いんだー。みせてみせてコータさーん」
そ、そんなに凄いんだ。
じゃあ、まあ、お披露目といきますか。
三人の驚く顔も見てみたいし。
「じゃあ、いきます」
「「「はーい!」」」
俺はマジックバックからニュルんと白骨化死体を取り出した。
そう、エビデンスゴータマの掘っ立て小屋にあったやつ。
「「「あんぎゃーーーーーーー!?」」」
年頃の娘さんとは思えない悲鳴が上がった。
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