第18話 浪人生、夕食はカレーにする
王都へ向け旅してる俺たち。
勉強漬けの浪人生活が祟ったのか、不甲斐ないことに三時間の徒歩でクタクタになってしまった俺。
少し早いが休憩からなしくずし的に野宿へと移行することに。
エビデンスゴータマが準備してくれていたマジックアイテムのテントを張りベッドも出した。
さて、寝るか┅┅
とはならない。
まだ、明るいし。何より夕飯がまだだ。
いくら昼食代わりにおやつの黒パンを食べたとはいえ夕飯は欠かせない。
さて、暇だから早めに準備しよう。
「ねえ、みんな。夕食はどうする?」
俺がそう言うと、猫耳三姉妹がキョトンとした顔でこちらを見る。
やっぱり、まだ早すぎだったか?
「あのう、コータさん。夕食とはなんでしょうか?」
あれれ? 異世界は一日二食の食習慣で朝と晩に食べるのが普通だったはず。
夕食とは? って聞かれると不安になるな。
「ええっと、もしかして旅の時は夕食を食べないのですか?」
俺がそう質問するとアイは慌てて首を振りこう返す。
「いえいえ、そうじゃありません。ただ、コータさんが夕食どうしますかって聞いてきたので不思議だったんです」
アイの説明に今度は俺がキョトンとしてしまう。
うーん、どこかで話が噛み合ってない気がするぞ。
「あっ、もしかしてコータはん、夕食を作るつもりやったんちゃう?」
「あ、ああ。旅先では夕食は作るものじゃないのか?」
「あははは、さすがコータさん。あたし達は買ってきた干し肉とかドライフルーツを夕食にしてたからねー。旅先で料理作るとか考えてもみなかったよ」
なるほど。確かにその方が合理的か。
時間と労力の節約になる。
ただ、ちょっと味気無いよなあ。
さて、どうしよう。
「┅┅ん、コータ。今夜は精がつくもの」
「お、おお。そうだな」
ポヨの発言で悩みが吹っ切れた。
せっかく異世界で初めての旅なんだ。
美味しいものを食べたい。
それに、俺のせいで早めの野宿になっちゃったからね。お詫びもかねて美味しいものをご馳走したい。
俺はエビデンスゴータマ情報を検索し、マジックバックにある食材を調べてみる。
なになに、肉に玉ねぎっぽい野菜があるな。
あと、ニンジンとジャガイモっぽいのもあった。
おおっ、米もあるじゃないか。
調理器具は土鍋にフライパン、炊飯器っぽいものもあるぞ。マジックアイテムだな。
おいティファールっぽいマジックアイテムもあるんだけど。本当に異世界かここ?
そういや調味料は┅┅味噌に醤油、塩に砂糖に胡椒。おいおい、だしの素にカレー粉もあった。
全部、錬金術で作れたらしい。
凄すぎだわエビデンスゴータマ。
よし、これだけあれば何だってできるけど┅┅
失敗はまず無いだろうカレーでいくか。
これなら日本で一人暮らししてた俺でも経験あるしな。
「よし、今日はカレーにしよう!」
「カレーという料理ですか?」
「初めて聞く料理やな」
「あたしもあたしも。楽しみー」
「┅┅ん、コータ。甘口で」
いやいや、甘口かどうかはエビデンスゴータマの作ったカレー粉の種類によるぞ。
俺は急いで検索する。
うん、辛口だ。
どうしよう?
「┅┅ん、カレーは甘口にかぎる」
「カレーって料理は甘いんですね」
「ウチ、甘いの大好きや」
「甘い料理とか、あたし初めてかもー」
本当にどうしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます