巻き込まれた『アドバイザー』、平和をもたらす
住屋水都
第1話
「役に立って見せろ。そうすれば命は奪わないでいてやる」
憮然とした態度で豪奢な椅子に座る、褐色の肌の男が言う。その視線の先には大量の汗を流す線の細い男が跪いていた。
――その男の名は、
車通りの多い交差点へ差し掛かり、赤信号で立ち止まっていると高校生くらいの男女が並び、その初々しさや社会の荒波に揉まれていない羨ましさから、つい目を細めてしまう。
心の中でその二人を応援していると、見ていたことに気づいた二人が真純の方を訝し気に見やる。申し訳なさでいっぱいになった真純は両手を合わせて素直に謝った――瞬間だった。
真純と二人の間が突然歪み、驚きで目を瞑ってしまう。人の驚きの声に目を開ければ、そこは豪華な装飾が施された広い室内だった。はっとして周囲を見やれば、二人も呆然と立っている。
一際絢爛な服を着た小太りの男は自らを王と呼び、勇者召喚の儀を行って真純らを呼び出したのだという。
そっと横を見てみれば、方や喜び、方や困惑している。喜んでいるのが女の子の方だったため、逆ではないかと真純が思ったのも悪くはないだろう。
勇者は女の子のほうであった。男の子は対を成す(らしい)賢者なのだと、王の横に控えていたやたら偉そうな神官風の服装の男が言う。
喧々囂々とした広い室内にいる人間の目が、一斉に真純へと向いた。誰もが好奇の目を向けており、一種の恐怖心が湧き上がるのを、真純は自覚していた。
神官風の男が口を開こうとした瞬間だった。真純の目の前の空間が歪み、引き込まれてしまう。
真純を誘拐した犯人こそが、褐色の肌の男であった。
彼は豪奢な椅子に座ると、挨拶も無しに告げる。
「貴様は勇者か?」
質問の意図は不明だったが、直感に従い即座に首を横に振る真純。褐色の肌の男の眉間が寄り、不機嫌さが見て取れる。
「では賢者か?」
またも首を横に振る真純に、真純の周囲が俄かに騒がしくなった。真純が驚いて見回せば、人間とは異なる姿の者達が取り囲んでいる。ライトノベルを好んでいた真純は、その者達が魔物であると即座に理解した。そうなると自ずと理解してしまう。
(この褐色の肌の男、魔王かぁ……)
冷や汗が頬を伝う。なにせ魔王の苛立ちを感じ取ってしまっているからだ。
「ならば、貴様は何なのだッ!」
「も、申し訳ありませんッ! 私が何なのかを聞く前にこちらへ連れてこられてしまいましてッ!?」
もはや慣れてしまっていた土下座をし、言葉も選べぬままに発言をしたことに更なる冷や汗が伝う。
周囲の者達も、魔王の怒りに感応しぎゃあぎゃあと騒がしくなる。真純は震える体を止める術を持たず、ただ無事であることを望みながら額を床に押し付けていた。
「……はあ、もうよい。俺自ら見てやる。……おい、なんだアドバイザーというのは?」
なんだと言われても真純に分かるはずもない。ただ、何も言わずにいるのは良くないと直感が語り掛けてくる。跪く姿勢を取り、自身の知識から答える。
「相談に乗ったり、助言をしたりする事……でしょうか」
「…………」
手で目を覆い、天を仰ぐ魔王。そのまましばらく動かず、生きた心地がしないままただただ冷や汗だけが流れていた。そしてとうとう魔王が動き、真純に告げたのだった――
初日こそ生きた心地がしなかった魔王領だったが、5年も住めば愛着も湧くというものだった。
あの日、魔王が役に立てと言ってすぐ部屋を立ち去り、恐怖で動けずにいた真純に対応したのは夢魔の女性で、真純の持つ夢魔の印象そのままの姿であった。スタイルがよく黒い羽と尻尾があって、長い桃色の髪と山羊のような角。
部屋の中で彼女が唯一会話できるということで対応したのだという。ちなみに、一度真純が淫魔と呼んだところ烈火の如くブチギレた。
そんな彼女に連れられて、連れて行かれた外を見て真純は驚いた。荒涼とした大地は生命力に乏しく、生きるのには厳しい環境のように思えたのだ。
聞くところによると、魔王領は全体的にこのような感じで常に食糧難であるという。幸いマナと呼ばれる物が多く存在し、魔物が繁殖しやすい環境のため狩りによって繋いでいるらしい。
魔王領に住む領民は魔族と呼ばれ、人語を理解する魔物を総じて魔族といい、魔族も魔物なのかと真純が訊くとまたも烈火のごとくキレられた。
魔王領怖い。それが真純の当時の印象だったが、領内の案内を受け真純が住むことになった掘っ立て小屋に着いてから夢魔の女性に言われた言葉が契機となった。
「私達だって好きでこんなところに住んでるわけじゃないのよ。魔族は人類の敵だからね、魔王領から出て行けば無条件で殺されるわ。魔族の誰もが、一度は裕福な生活に憧れて、そうして死んでいくのよ」
「それは……辛いですね。せめてこの地が畑でいっぱいになれば、お腹いっぱい食べられるでしょうに……」
この瞬間、アドバイザーの力が芽吹いた。
脳内に過る畑を作る為の工程。それを無意識に言葉に出していたのを夢魔の女性が驚いたように聞いていた。そして慌てて掘っ立て小屋から飛び出して、魔王領最大数を誇るゴブリン族に畑仕事を頼んでいた。
とんとん拍子に進み、魔法の存在もあって1年も経たずに畑で最初の作物を収穫した。その時の魔族たちは歓喜に沸き立ち、騒ぎを聞きつけた魔王がその時に初めて真純に笑顔を見せた。
それから4年で、あのころの面影はまるで見られないほどに畑は広がった。畑以外にも衣服や建物なども、真純がここに来た当時より遥かに発展している。
会話についても、常に対話を試みるべしとアドバイザーの力が示しており、続けた結果魔族から魔族へ、言葉が浸透していった。
全て、アドバイザーの力によるものだった。
「真純殿~、ようやくできやした~! 味を見てくれやせんかね~」
「おー、いよいよできましたか! いただきますね……ッ! うまいですよコレ!」
オーガ族から差し出された液体を一口含み、最上の笑みを浮かべた真純。それはまさしく清酒だった。
魔王にこっそり人間の国へ連れて行ってもらい、偶然見つけた野生の稲を見つけて持ってきていた。
魔法がある為水田を作る必要がなく、気候が良い魔王領は四季も無い為に1年を通して栽培できる。この時ほど真純が魔法の存在に感謝したことは無いだろう。
これでようやく、真純の次の一手を打てるようになる。
人々が住んでいる町にも寄った所、どうにも酒類の品質がよろしくない。酒精こそあるが酸っぱかったりするのだ。
そのため野生の稲を見つけた瞬間に、アドバイザーの力よりも早く思い至ったのだ。清酒って売れるんじゃね? と。
思いついたのは真純の方が早かったが、作り方はアドバイザー頼りだった。酒といえば鬼、という安直な思想の元、オーガ族に頼み込んで正解だったと真純は切に思っていた。
「あー、もう本当に美味しいです。よくぞ、よくぞ作ってくれました!」
「ガハハッ! 真純殿のおかげですわな~。魔王領がここまで豊かになったのも~、真純殿が来てくれたからですがな~」
「いえいえ、俺はただ言葉に出しただけです。それを皆さんが形にしてくれたからこそですよー」
オーガ族の青年と真純が清酒を飲み交わしていると、畑仕事から帰ってきたゴブリン族の青年が寄ってくる。
「お二方~、それなんです?」
「皆さんが作ってくれたお米で出来た、お酒ですよ」
「若いの~、ほれ~」
赤ら顔になったオーガ族の青年から木椀に入れられた清酒を受け取り、一気に煽るゴブリン族の青年。結構強めの酒精だったが、特に何ともなかったのか咽る事も無く輝いた目で真純たちを見る。
「これすっごく美味いですね! さすが真純殿です!」
あまり騒ぐと集まってしまう為、そこそこでお開きとなりゴブリン族の青年は帰って行った。
真純とオーガ族の青年は、研究開発をしている酒蔵へと向かう。現場で指揮を執っているオーガ族の、皆からおやっさんと呼ばれる者に声をかけた。
「おやっさーん、試作品いただきました! さすがですね~」
「おう、真純殿じゃねーか! いい出来だっただろう、それもこれも真純殿が丁寧に教えてくれたからこそだ!」
呵々と豪快に笑うおやっさんは真純を別室へと促し、木椀に並々と入れた清酒をもって歓待する。
「おやっさん、当初の予定通りにこのお酒を魔王領に接する唯一の街に卸すつもりですが……。名前どうします?」
「おう、そのことなら考えてあるぜ。“鬼ご〇し”なんてどうよ」
真純は思わず咽た。色々アウトな気がするからだ。
「い、いいんですかそれ……。おやっさんオーガじゃないですか……」
「だからこそよ。自分で言うのもアレだが、この酒は美味い。こいつの前じゃ俺ぁただのオヤジってもんだ」
そうまで言うなら異存はないため、真純は了承し木椀をあおる。久々に飲んだ清酒、いや鬼ご〇しは本当に美味しかった。
米の生産量と酒造りに使う量から現状で可能な酒造量を計算し、それを魔王の元へもっていく。
会わない日が無いほどに真純は魔王の元へ行き、相談に乗ったり意見を述べたり、時にはただの雑談に興じたりしている。
「魔王様。こちらオーガ族に依頼していた、米の酒です。どうぞ」
「いただこう。――ッ! うまいなこれ」
「でしょう? 魔王領に接する街に卸す分がこちらで、領に残るのはこのくらいになります」
「……少ないな。足りないのは米か。よし、ゴブリン族を増やして畑を広げるか……ふっ、5年前はこんなことを考える事になるなど思ってもみなかったが。真純を誘拐して正解だったな」
俺も誘拐されてよかったです、と魔王と二人笑い合っていると、部屋に夢魔の女性が入ってくる。
「あ、リリさんいらっしゃい。これオーガ族に依頼していた酒です。よかったらどうぞ」
「あら、真純様。ありがとうございます。んっ、美味しいですね」
舐めるように一口啜ったリリの口元を凝視する真純。その所作一つが淫靡に感じてしまい、さすが淫魔と心の中で思うも、リリがそれを察して青筋立てて迫っていく。慌てた真純は魔王を盾にして徹底抗戦の構えだ。
これもここの所日常的にみられる風景となっていた。騒々しくも愛おしいこの風景の中魔王は思う。魔族が望んだ裕福な生活。それを生み出してくれた真純には本当に感謝だと。
魔王領に接する街では今、壮絶な争いが勃発していた。
突如として持ち込まれた香りよく、味も素晴らしい澄みきった酒を買い求めんと民衆が酒場に殺到し、あわや暴動かというところまで苛烈さを増していた。
その騒動を知った町の領主は酒場の店主を呼び出し、事の顛末を聞き取るとその酒に興味を持った。
差し出された酒は王城で出されるワインより香り高く、澄みきった見た目に俄かに感動を覚えていた。そうして一口喉を通せば思わず深く息を吐きだし、満足感に浸ってしまっていた。
「美味い酒だ。これはお前の所で作っているのか?」
「いえ、それが……実は魔王領より仕入れたのでございます」
「な、なんだとッ!?」
領主も、近年の魔王領の発展は偵察兵から聞き及んでいる。そのため危機感は高まっていたが、よもや酒造りをしているなどとは思ってもみなかった。
「その酒を持ち込んできた男から伝言もあずかっていまして……よろしいでしょうか?」
「う、うむ。言ってみろ」
酒場の店主は、真純の悪魔の言葉を囁いた。
――こちらは手を結ぶ用意がある。この酒を、独占販売したくは無いか?
1年後、この街は酒の都として栄えることとなる。
「俺がここにきてもうすぐ7年ですねぇ。何か忘れているような気もしますけど、まあ忘れるくらいだから大したことじゃないんでしょうね~」
「そうだな。まあ、油断してると足元をすくわれることになるから気を付けろよ?」
魔王と真純がそんな会話をしている頃だった。部屋の外が騒がしくなるも、いつものことだと流していた二人の元に慌ててリリが入ってきた。
「た、大変です! 勇者と賢者が襲ってきました!」
「「忘れてたッ!」」
見事に足元をすくわれた二人は、慌てて外へ出ると賢者の男の子、いやもう立派な成人男性となった賢者が放った魔法によって畑が焼かれている。
魔王は青ざめ、殺されそうになっているゴブリン族の者達を助けに走る。その魔王を、勇者の女性が斬り掛かろうとしたところで真純がキレた。
「コラァ! よそ様の畑を踏みにじり、住民を殺そうだなんて勇者のやる事か! 君たちがそんな非常識な子達だったなんて思わなかったよ!」
「えっ!? あ、おじさん!?」
「生きてたんですか!?」
ぷるぷると震える真純。日本にいた頃なら相手を忖度して我慢していたところだがここは違う。しかも愛着がある土地を踏みにじられた側である。怒るなというほうが無理があった。
「誰がおじさんだ! 俺はまだ29だ! 生きてて悪いか! ようやく穏やかな生活を送れていたのにぶち壊しやがって! 二人とも、そこに正座ッ!!」
「「は、はいっ!?」」
2時間ほど勇者と賢者の二人を説教するアドバイザーの姿があった。
これまで真純がしてきたことを混ぜながら道義を説き、今二人がしてきたことが何なのかを責め立てる。そして真純がどうしてこんなことをしたのか問い質す。
「魔族は悪い奴らだから……」
「誰がそんなことを言った! 世間か!? 二人はあの子達を見てどう思う、泣いているだろう? かわいそうだとは思わないのか!」
「お、思います」
「これが日本なら海外に行って無差別に殺して回っているようなもんなんだぞ! もっと自分の考えを持ちなさい! いつだって後悔するのは考え無しの行動をしてからなんだ、いいね!?」
「「は、はい……」」
ようやく終わりが見えた。勇者と賢者がそう思うのも無理は無いだろう。既に二人の膝は感覚が死んでおり、思いもよらない人物から烈火のごとく叱られたのだから。
気が緩むのも仕方がないというものだ。賢者の青年は安堵から口を開く。
「あの、そういえば隣の街で日本酒があったんですが、あれおじさんが――」
「誰がおじさんかあああああッ!! 真純だ!」
「は、はいッ! すみませんでした真純さん!」
烈火再び。隣の勇者は賢者に怨みの籠った視線を送っている。
さらに1時間が経過したころ、突然始まった説教に面食らった魔王の頭がようやく回転を始め、怒り狂った真純を止めた。
唸り声をあげつつも承諾した真純を連れて、館の様相となった家へと入る。もちろん勇者と賢者の膝が感覚を取り戻すのを待ってからだ。
長すぎる説教のせいで空は夕焼けの様相を見せていた。死んだような目でその空を見つめる二人を他所に、魔王と真純はこれからの事を話し合っていた。
「畑はまた作ればいい、勇者の剣にも血の跡は見られなかった。各族長からの報告からも死者の報告は無い。真純の避難訓練が活きたか」
「そうですね、いざって時のためでしたけど……勇者が攻めてくるって懸念を考えてはいませんでしたね。こちらの世界に召喚されたとき、見知っていましたから。ただまあ、俺誘拐されてましたもんね」
魔王と真純はため息をつきながら鬼ご〇しをあおる。慣れ親しんだ酒が喉を通り、立ち昇る香りが二人の肺腑を満たす。自然と酒を飲み始めた二人を呆然と見ていた勇者と賢者だったが、飲んでいる酒が鬼ご〇しだと気づいた賢者が叫ぶ。
「そう、ソレ! おじ……じゃなかった、真純さん、その日本酒って真純さんが作ったんですか!?」
おじ、まで言ったところで真純の目に険が宿る。言い切る前に撤回したためどうにか地獄を回避し、勇者は安堵の息を吐く。
「俺は作り方を伝えただけだ。実際に作っているのはオーガ族のおやっさんたちさ。……君が焼き払った建物は酒造蔵の一つだよ。君たちが踏みにじった畑は陸稲畑さ」
罪悪感から、蒼白となった二人ががっくりと項垂れ、とうとう涙を零す。本当に何してんだろう、と賢者が呟き、勇者もまた同意するように頷く。
真純が言葉でチクチクと攻め続け、魔王が慰めるという構造が出来上がってしばらく、リリが室内に料理を運んでくる。全て魔王領で採れた食材で作られた料理で、勇者と賢者の分もある。真純は二人が食事を摂るのを確認してから、ゆっくりと話し始めた。
「魔王領は、それはもう酷い有様だったんだ。雑草一つ生えていない大地。痩せ細っている魔族たち。人々があたりまえのように満腹になるまで食べていた中、魔族たちはその日生きるので精いっぱいだった。隣では当たり前のような生活を望んで、死んでいくのが常だった」
二人の手が止まっているのを見て、食べるよう促す。再び食事を摂るのを見届けて真純はつづけた。
「ここは温暖な気候だけど、不思議と雨が降らないんだ。その理由は分かるかい? 実のところ、人間側が開発した魔道具でこの辺りの天気を操作しているらしいんだ。といっても、雲の量を操るだけらしいけどね。それでもじゅうぶん過ぎるくらい影響があった。雨が降らなければ、作物は育たないからね」
二人の咀嚼が、嚙み締めるようにゆっくりとなる。
「俺はアドバイザーの力があるらしくてね、この力でこの大地を再生させた。皆がそれに協力してくれて、魔法の力もあって。軌道に乗ったのは、誘拐されてから5年も経った後だったよ。それまでは、隣接する人間の街には食料がたくさんあるのにって声が上がってたんだけど、畑が大きく広がってからはそんな声は上がらなくなった。代わりに、魔族たちの笑い声が響くようになったんだ」
しっかりと食べ終えた二人は、空になった木皿に涙を落とす。
「初期に畑仕事をしてくれたゴブリン族の族長がね、俺に言ってくれたんだ。幸せをありがとうって。俺さ、凄く嬉しくてね。ねえ、二人とも。帰ったら王様に伝えてくれるかな? 俺達魔王領の民は、もう二度と安全を脅かさない。する必要が無くなったからね」
真純が魔王を見やれば、魔王もまた頷いて返した。薄っすらと穏やかな笑みを湛えて。
二人を一泊させた次の日、魔王は二人を王都の近くに送り届けた。
真純はアドバイザーの力で次の手を打つことにする。隣接する街との大々的な交易だ。
これは魔王領と手を結ぶと利益があるぞ、というアピールのためであり、魔族と人間が共存する様を見せつける為でもある。
そう、この街の領主は既に魔王と真純の既知であり、酒飲み仲間である。最近は蒸留酒の試作を共に試飲し、もはやそこに敵意などまるでなかった。
王はこの街の繁栄を知るや、即座に魔王の手を取ることを決めた。そうして魔族と人間の両王が会談を行い、手を取り合うことを世界に報じた。人魔協定の締結として、後世に残る大事となる。
これは魔王がこの世を去る遥か1000年先まで続き、魔王領において真純の名は神聖なものとして扱われていた。
晩年の魔王は語る。
“あの日、勇者か賢者を誘拐していたら、我々魔族は滅んでいた事だろう。真純はよき相談役であり、よき臣下であり、なによりもよき友であった”
巻き込まれた『アドバイザー』、平和をもたらす 住屋水都 @eremoi
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