第26話 水の支配者レヴィヤタン

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死神リナ

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 全身を青い鱗で覆われた女性が色っぽく突っ立っている。

 そいつはレヴィアタンと呼ばれる七つの大罪の【嫉妬】と分類されている。



 死神リナは右手と左手に黒い鎌を出現させる。



【死神鎌翼】を発動させる。

 背中から無数の鎌の形をした翼が出現する。



 そこに光の翼の要素も付け合せることで、エンジェルインパクトを発動させる。

 


「しかもダブルでいってみっかー」



 右手と左手にエンジェルインパクトを発動させる。

 右手だけで40メートルを遥かに超える巨大な鎌を出現させ、それは左手にも同じような事になった。



 それでも嫉妬のレヴィヤタンは死神リナを見てけらけらと笑っている。



「いつまでも笑ってられると思うなよおおおおおおお」



 死神リナは地面から両足を離して、片翼の天使の翼と片翼の死神の翼で飛翔した。

 風をきりながら、鋭い音をかきならしていく。



 風そのものがカマイタチとなり死神リナを守ってくれる。

 


 それは一瞬だった。

 レヴィヤタンの真上から大量の水があふれた。

 その水を出現させ続けている大きなツボがあった。

 そこには一人の老人みたいでゴブリンみたいなやつがいた。



 そいつは先程までトイレのような物に座っていた怠惰のベルフェゴールであった。



「まったく、準備が遅いわよベルフェゴール、あたいは暇で暇でおかしくなりそうだったのに」



 ベルフェゴールは返事などせず、勝手にいなくなっていった。



 空に浮かび上がる謎のツボから無限に水があふれ続けている。



「あら、お嬢ちゃん、水の世界ではね、あたいが支配者なのよん」



 煙のようなものが見えた。

 それは一瞬で消えさり、そこにいたのは巨大なドラゴンみたいな存在であった。

 そいつがレヴィヤタンであると分かったのは煌びやかに光る青い鱗だった。



 レヴィヤタンが人間の女性だった時に、全身を覆う謎の青い鱗。

 死神リナはようやく気付いた。

 それがレヴィヤタンの本当の姿なのだと。



「だからなんだというのよおおおお」



 それでもエンジェルインパクトは終わらない。



 レヴィヤタンは口の中に沢山の水を一瞬で吸い込み、次の瞬間にはそれが解き放たれていた。



 死神リナのエンジェルインパクトごと彼女を吹き飛ばした。



 死神リナの怒声が響き渡りながら、彼女は遥か後方に飛ばされていた。



 そこは遥かな空に向かってそびえ立つ山だった。

 山そのものに巨大なクレータをつくって死神リナは立っていた。

 彼女はレヴィヤタンの攻撃を防ぎ切ったのだ。



【死神リナさん大丈夫ですか】

「問題ないわゴーストの声、問題があるとしたら、あいつの攻撃範囲の広さねまた来たわ」



 また水色を虹色に輝かせながら水を解き放ったようだ。

 それを死神リナはまたエンジェルインパクトを発動させて防ぎ切った。



「しかし、何度もエンジェルインパクトは使えないわよ」

【困りましたね、死神リナが力尽きるのをまって水を噴射しているようですね】



「まったく卑怯でしょ」

【それがレヴィヤタンの本質なのでしょうね、さて打開策は簡単に見つかりましたよ】



 死神リナの真上から1人の天使が下りてくる。

 背中には2本の立派な翼があり、彼は死神リナを見て笑った。



「天使長ミカエル、なぜあなたがここに」



「ああ、サタンの匂いがしから、討伐しに降りてきた。そしたら懐かしい顔をみつけてな、お前だよ」

「そうですか」



「君は僕に騙されたと思っているようだね」

「そうでしょう?」



「僕は君を騙していないよ、僕は君を大切な友達だと思っている。ガブリエルとしての君をね」

「じゃあ、なぜ、沢山だましたのですか」



「あれは神々の試練だ。さて、君は神々の試練を乗り越える事が出来るかな? サタンと悪魔達をのさばらせた罰を僕達天使は受けないといけない、でも、天使が地上に降りるにはものすごい力をようする、今の僕だって半分の魂でやってきている。ガブリエル、いや死神リナよ、これは天使族の1人の生物として頼むこの力を受け取ってくれ」



 それは天使長の剣だった。



「君を地上長の長とする。覚悟が決まったらこれを抜け」



 死神リナは消えかけているミカエルの姿をいとおしそうに抱きしめると、地上長の剣を握りしめた。



 莫大な光が暴発した。

 沢山の天使達のメロディーが頭に流れる。 

 天使は人を愛し、人は天使を敬う。

 神は人を試し、神は天使に笑いかける。

 神は天使に試練を与え、それは1人の神にさせる為の訓練。



 天空には天使長がいて、地上には地上長がいる。

 天使長の力を携えた地上長の剣は、莫大な力となる。

 天使長ミカエルとガブリエルは仲間だった。

 しかし神々の試練でいがみ合う形となった。



 莫大な光が収まると、そこには天使長ミカエルの姿がなくなっていた。

 死神リナの両目からあふれ出す透明な粒。

 それは涙と呼ばれるものであった。



 また水の噴射が飛んできた。

 しかし地上長の剣を軽く振っただけで水そのものが蒸発した。



 死神リナは目を袖で拭うと、ゆっくりと歩きだした。

 何度も何度も水の噴射が来る。

 しかし次から次へとかるく蒸発する。

 いつしか死神リナの地上長の剣を軽く薙ぐだけで、水の噴射が全て蒸発する。



 死神リナは数分をかけてそこにたどり着いた。

 先ほどの天空までそびえ立つ山は遥か後方に位置する。

 


 巨大な球体であった。

 それは1つの国がすっぽり入るくらいの水の球体であった。

 その中でレヴィヤタンは泳いでこちらにおびき寄せようとしている。



「さぁ、地上長の剣を使うとしよう」


 剣を真上に掲げた。

 その先から透明な光が発される。

 光が水の球体に触れると、水の球体は蒸発していく。

 いつしか巨大なツボから流れ続ける水は蒸発の方が早くなってしまう。

 水が出現するより前に水が蒸発していった。



 次の瞬間、ツボそのものが割れた。

 巨大なドラゴンが地面に魚のように落下した。

 水がないと力を使えないのか動けないようだ。



 レヴィヤタンの体はみるみる小さくなっていく。

 そこにいたのは青い鱗を纏った色っぽい女性であった。

 彼女はぶるぶると震えながら立ち上がると。



「あら、ごめんね、あたい、もう何もしないから見逃して」

「そう、それならいいわよ」



 地上長の剣を携え、後ろを振り向いた時。

 後ろから殺気を感じた。

 ナイフを握りしめたレヴィヤタンが跳躍し、死神リナの首を狙っているようだ。


 死神リナは軽く地上長の剣を振りぬいた。


「ぎや」


 簡単な悲鳴をあげて、地上長の剣に心臓を貫かれたレヴィヤタンはそこから消滅していった。

 レヴィヤタンの魂が浮かび上がり、リュウフェイの下へ飛んで行こうとした。

 しかし途中で向きを変えると、先ほどの謎の老人みたいな角を生やしたやつの所に魂が向かっていく。


 そこには巨大な入れ物があり、そこに魂が入っていく。


 隣を見ると、安倍晴明が人間になり走っている。


【これは負けられませんな】


「まったく、あのトイレ爺は何者なのよ」


【あれも七つの大罪ですよ】


「そりゃそうですけどねええええ」


 死神リナは走り出す。

 一瞬遥かな天空を見た。

 そこに天使長ミカエルがいた気がした。


「まだ許した訳じゃないんだからね」


 天使長ミカエルの笑い声が聞こえた気がした。


 この日より地上を守る天使として死神リナは選ばれ、地上長の剣の主となった。





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