第23話 衝撃の真相

俺は兵士たちにこの二人を拘束するように命じる。拘束された二人はいよいよ自分の置かれた立場を理解し、懸命に命乞いをするのだった。


「そんな!私はお父様に命じられただけなのです!関係ありません。」


「殿下、これの話を信じてはなりません。私は今回の件に何も関与しておりません!」


全く往生際が悪いな。俺はこいつらをさっさと片付けてメリルとデートをしたいというのに。しかたない、止めにあのネタを伝えるか。


「ミナーラ嬢、お前にはメリルを傷つけた罪もあるが殺人の罪もあるぞ。」


「へっ、マ、マ、マクリッド様、いったい何を?」


「殿下?殺人とはいったい何を仰っているのですか?」


俺の言葉に男爵はひどく困惑しているようだ。しかし、ミナーラの方は心当たりがあるようで動揺を隠せていない。


「男爵は知らなかったかもしれないがな、そこにいる人間はミナーラでありミナーラでない。」


そう言うと、俺はメリルのことを傷つけたミナーラのことを指さす。


「既に男爵の実の娘。つまり本物のミナーラは死んでいる。正確には殺されていると言っていい。ここにいる彼女はただの平民のビラという女だぞ。本物のミナーラはこのビラに殺されている。


男爵は知らなかったかもしれないが、本物のミナーラは彼女の母親から自分のことを男爵家の生まれということを知らされていたんだ。そのため、本人も自分が貴族の娘ということを知っていたんだよ。


俺の調べたところによると本物のミナーラはいつもこう言っていたようだ。”私は今は平民だけど、本当は男爵家の娘なんだよ。いつか、私のことを男爵様が迎えに来て、男爵家に迎えられるんだ。”とな。


ここにいるビラもそのことを聞いていたんだろ。本物のミナーラを殺害し、自分がミナーラになり変わる。そうやって来るか分からない男爵のことを待っていたんだよ。いつか、自分が貴族の家の人間になるために。


そう言うことだから、そもそも男爵の企みは成功したところで意味がなかったんだよな。だって、お前ら全くの他人だからな。」


男爵は俺の話を聞き、ここにいる存在が自分の娘でも何でもないことを知ることになる。男爵は信じられないような顔をするがビラの方は流石にこれ以上とぼけても意味がないとあきらめたのだろう。突然、口調が豹変する。


「はぁ~なんだよ、そこまでバレているのかよ。これじゃあ、どうしようもないじゃねぇか。くそっ、せっかくこの国の王妃になれるかと思ったのによ。王子の婚約者が不愛想だからうまくいくと思ったのに。」


おぉ、流石に俺もこれは予想外だよ、猫かぶりすぎだろ。男爵の方もびっくりして彼女を見たまま口をあんぐり開けているじゃないか。女って怖いねぇ~。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る