13-祝福物、生卵とデザート。
もう一つ、“生卵”
危険の代名詞も、祝福を受けた新鮮なものなら食用になると言う。刻まれた刺身と絡められたタレ。そこにポトンと上に乗せられた。
少し大人の味と言われたのでセリは、ロードに少し貰う。黄身に絡んでマイルドな味は、酒に合う味だそうだ。
セリには少し濃かった。
その後、冷たいジャガイモのスープを飲み。そろそろコースも終わり。
そこで、半透明の物体。食事の後のデザートを出してくれたが。
「“デザートスライム”です。」
にっこりと良い笑顔で出された品。セリへのサービスとして、半透明でぷるりと揺れたものが置かれた。
「スライム」
そう繰り返して、皿の上の物を観察する。
動くことはなさそうだけど?
『スライム』とは、半生物。錬金術でも作れる、動く流動体で魔石で動く。
他には、森や魔素の溜まったところに現れ蠢く。集まれば大きくなり、そのうち消えてしまう。それがセリの識るスライム。
雪の中で石かと思ったら、凍ったスライムということも稀にある。危険はない筈だが、あのスライムだろうか?
毒性や痺れを持つスライムもいる事から、触らないのが良しとされる。
錬金術で作られた物は生活で使ったことがあるものの、決して食用ではない。
甘い黒蜜がかかり、甘そうなスライム。
セリはその匙を持って、躊躇った。
「食べれる?」
生でも、出された料理の数々は食べれた。色々考えた結果。セリは行動に移す。
「アーン」
自身の口にではなく、ロードに食べさせてみた。
様子見していたカナン、シュルトが呟いた。
「あっ」
「…毒見役?」
当のロードは平然とスライムデザートを咀嚼している。しっかり、味わうように食べた。
「美味しい?」
セリが真剣に聞く。
「旨いぞ。ほら」
ロードに向けられた匙をパクリと食いつく、セリ。
歯応えなく、ツルッと食べられた。スライムっぽさとは何だろうかと考えるよ説明が付いた。
「それは、『スライムフィッシュの煮凝り』でございます。スライムと見た目が似ている事から、この名前になったと言われる魔物食材です。」
セリが知っている『スライム』ではないらしい。
“スライムフィッシュ”は、クラゲのような形だが毒も雷属性もなく子供でも捕まえられる魔物食材だ。大量に出た時期に、料理に使えないかと工夫して生まれた名物料理。
「冷やされ口当たりの良いデザートとして、好まれています。」
観光客に、スライムですと提供して驚かせるのもパフォーマンスの一つだった。
特に、子供向けて。
セリは驚いたものの、黒糖の甘さが気に入ってスライムを完食したのだった。
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