12-箸文化と生食

溶けるような夕焼け見える丘の上。

オープンな店の中へと案内されて進むと職人の手元が見える、カウンター席に案内される。


説明や、好みの物を出してくれる特等席。食べられないとなれば別のものを出してくれる。海の物に慣れていない観光客への対応もバッチリなのが人気の理由か。


シュルトは慣れたように注文していた。

「よく来るのヨ、ここ。ランチも美味しいケド、蟹を楽しむナラ夜よね!」


お酒も出た。綺麗なカクテルを出してもらった。セリは、見た目は綺麗だが果実酢だ。酒精は入っていない。


それでも、綺麗なグラスに注がれた色に見惚れる。


「うまっ」

冷やした酒を早々に呑んだカナンは、次を注いでいる。


セリはゆっくりカクテルを飲んだ。綺麗な色に、美味しい果実の味に喜んでいる。


料理は、酢漬けした野菜から。彩良く盛られた皿からスプーンで掬い取る。

箸でも良いらしい。


人族の文化だが、シュルトはもちろんセリも使える。器用にロードとカナンも使い始めたのには少し驚いた。


基本的に2人とも器用なんだろう。



次に出たのは。赤く茹った蟹。


色が変わる様子を見せてもらい、味のついたスープに秘密があるのかと思ったが。茹出たり焼くと色が変わるらしい。


大きな鋏を持つ、魔物の分類に入るのだとか。


キングクラブ、クイーンクラブがこの辺で採れる種類だ。


「顔つきが違ってます。」


セリには違いがわからなかった。



「生食でいかがでしょうか?」


「ナマ」

セリは冒険者の常識として学んだ事を思い出す。


<生肉、生水、は危険>が最初の教えだ。かなり抵抗はある。


でも、探究心が疼く。ポーション常備の店で出す、安全な生食がウリだった。


それでも合わない客も、断る者も居るので他の料理も出せる。


「洗浄を受けた新鮮な食材しかお出ししません。」


「試してみない?」

「無理しなくて良いぞ」


シュルトが進め、ロードは無理強いしないと伝える。


正直、興味津々だ。


市場では水魔法を使う人をよく見た。水属性の魔法である洗浄の効果がセリには新鮮だった。



セリのいた土地では、雪があるため飲み水の確保ができる、を得る方法はある。それより。凍るし冷たい体を温める火魔法のが喜ばれた。


お湯が出せるようになって、少しは使えるようになったが。


セリは、生の魚をセイユと呼ばれる黒い液体でいただく。

その食感と新鮮な味に、驚きと美味しいという感情を得て刺身を食べた。


セリの口にはあったらしい。


今度は、ご飯に乗せて出汁と一緒にどうぞと勧められた。



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