9-海の冒険者
冒険者ギルドの近くに来ていた。
セリは教会を出たら、冒険者になって仕送りしたいと思っていたので興味がある。『海の依頼は特殊なものが多い』と教会に居たオジサンに聞いたのを実際に見たい。
「冒険者ギルドになんか用、ある?」
念のためという聞き方したカナンだったが、セリは好奇心が抑えられない様子だ。ロードが決定を告げる。
「入るか」
「了解〜」
さりげなくセリと手を繋いで、ロードが歩いた。
存在感を示すためにカナンは声を出しただけで、もう片方も手を繋ぐことは考えていない。
冒険者登録をしている2人は、慣れた様子で入っていった。その側に、白いワンピースの女の子とは、不思議な組み合わせである。
『まあ依頼中か』
『金持ちが物珍しさに入ってきたのかもな』
ギルドの中にいたヒト達には、“護衛だろうな”とみなされた。
依頼ボードを見るセリの姿も、物珍しいのだろうで気にも留められない。
海辺の冒険者というものの荷運びが主な依頼だ。海の魔物の難しさによる。
人を集めて、大々的な討伐になる。
海の男、船員、荷運び。この繰り返し。
カナンが横に並び、独りゴチる。
「海の魔物の討伐は面倒なんだよねー」
「川と陸路の2種類だな」
セリのために、ロードが捕捉した。フリーの冒険者は、個別の契約で荷運び。
他の募集を見る。薬師や魔法を使えるヒトを目的とされる。氷魔法の有用性はどこにでもある。他には特になかった。
「薬師」
セリが薬を売っている場所に行くと、鍋にぐつぐつ海藻を煮ている薬師の姿があった。興味を惹かれて近寄る。
「ちょっと妙な臭い。塩、潮?」
「海藻と海水だねー」
カナンの鼻のが確かだ。
(ごった煮のようだが、何を使っているんだろう。)
食べ物だったら、口に入れたくない感じだ。
セリは内蔵系も食べられるが、謎の物には勇気が必要だった。
「食べられるかもなー?」
カナンの言葉に、遠慮したいか?試してみたいか。迷うセリ。揶揄われているが真面目に考え出す。
「昼メシは、違うものを食おう」
ロードの提案には、すんなり頷けたセリだった。
まだお腹の空き具合には足りない。市場からすぐ近い、川へ行ってみる。
ギルドで採取の依頼があると聞き、依頼は受けず見に行く事にした。
観光の延長、散歩だ。
急ぎの配達などを担う。周りと顔馴染みになって、お手伝いの範囲とはいえ小遣いを得られる。
その後にも繋がる。
川を上っていく船が目についた。
王都までの
森を抜けねばならずどうしても魔物の生息域に近い。危険のある道。
川からのが、安全に移動できるため、ヒトで賑わっていた。
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