5-夕食会
夕食は、長い机に案内されて座った。
セリは、少しドレスアップしている。涼しげな布地の水色。真珠のアクセサリーの値段をセリが知らないのは良かったかもしれない。同じ机に着いたメンバーも、少しオシャレになっていた。
外行き用、でも少し気楽な身内の食事。静々と料理が運ばれてくる。
並べられたカラトリーをマナーに則って使っていく。
セリには慣れない形式なものの、習った事はあるため緊張しながらもマナー通りに食事ができた。
キースのひとつひとつが綺麗な所作をセリは、盗み見ている。あれが完成形なのだと思う。シュルトも、席の並びで手元が見えないグスタフも迷いなく進めている様子。
隣の席のロードも前にいるカナンも、無難に済ませている。
「緊張しなくて良いぞ?」
「まあ、慣れだからね〜」
場に慣れていない固い動きのセリだが、ここに咎める者はいないので慌てず食事を楽しめた。
最初にセリが食べたがっていた出汁の効いたスープ。
カナンにニッと良かったなぁな顔をされて、ちょっと照れたセリにロードが追加の香辛料を勧めて気を引いたりというやり取り。
続いて海藻のサラダ、メインの魚には緑色の綺麗なソースが掛かってた。ハーブの味わいが魚を味わい深くする。
豪華な素材をふんだんに使った高級な夕食。
選び抜かれたワインなどの酒が出さる食事と共に楽しんでいた大人と違い、セリには葡萄ジュース。
「オレまで悪いね」
護衛のカナンも飲んでいた。これくらいで酔わないだろうし高級宿の警備はしっかりしている。正直、今日はもう仕事はないようなものだ。
メンバーは皆、酒に強い。ロードとグスタフは全く酔わない。キースは1杯。シュルトは種類を変えて2杯飲んでいた。
「美味しいもん」
お酒に興味があると言うより、1人だけ別なのが不満になっただけなセリが呟く。
綺麗なグラスに入っているなあとは思うが、ワイングラスも素敵だ。
こればかりはしょうがないと思うのだが。
ロードが自身のを上げようとしたが、セリは断る。正直、飲みたいわけじゃない。
グスタフとシュルトからも止められていた。
「子供に酒は、毒になる事がある」
「人族は特にネ。身体が成長しきってからにしなサイナ」
デザートを2人分。ひんやり口当たりの良い、なんだろう?
「ココナッツだね」
「木の実?」
キースが答え、セリが不思議そうにする。セリが知っているのは手で握れるほどの木の実ばかりだ。
カナンとロードが答えた。
「市場で見れるよ〜」
「他にも木の実はある」
キースとセリが食べ終わるまで、他は酒を飲む。2人は紅茶で食事は終わった。
明日の予定を軽く話し合うため、場所を移動した。
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