4-夕食の席

カナンが守るのはキースではなく、セリ。ロードの監視でもある。


出かけるになら、セリの護衛は当然でセットで動く2人についていく。その後ろ姿を見て自然と並ぶ距離に、馴染んできたなぁと感慨深い。


オレだって竜人と人族の組み合わせを心配してるんだぞ?


まあ楽しんでいる部分は、否定できないけどな。

さっきだって、あの商人は見る目がないなー。“デカい魔物を討った”、“旅の一行”がそうだと情報が回っているのに。見かけない顔で、護衛のロードに気づかないとは。


情報を武器にする商人としては三流か、それにあの態度。

確かにセリちゃんの格好は貴族には見えないが、護衛が2人に見えるだろ?


そんな目端めはしも効かないか。

セリちゃんは商人の態度を無視してその分、ロードが喧嘩を吹っかけた。


「金。」と分かりやすい物を見せて。ロードも大人気ない気もするが、まあスカッとしたし。問題なし!


「セリちゃんが探しているのは、魔石を使ったアクセサリーとか。海関連の工芸品も見たいってさ。」


ロードが何故俺より先に知っている!と睨む。さっき聞いたんだよ。オマエが商人に圧かけてた時になっ。


「作れるような物がないか、見たいの。」

「お守りに近いものがないか、探したいんだな。」


ロードの確認に、セリが肯定する。


「市場のが、そういうのありそうかもなー。」


カナンが声をかけながら、セリの頭を強めに撫でる。髪が乱れるが、少し嬉しそうにした。


オレからセリちゃんを掻っ攫う割って入るように、抱き上げるロード。


「夕食は、なんだろうな?」

「んー。」


おとなしく肩に乗るセリは、考え込んでいる。来たことのない海の食事をうまく想像できないらしい。カナンが助け船を出した。

「海の幸はあるだろ〜な、魚、エビ、貝とか?」

「オマエは、干し肉でも食ってろ」


ロードが『オマエには聞いてない』と副音声付きでカナンを冷たく扱う。


「え〜そりゃないよぉ。豪華な夕食付きの仕事って聞いたのにい」


正確に言えばそんな優遇された護衛ではないが、キースがいる時点でグレードアップのおこぼれは確実。飲み物さえ高級品。


竜人を体を張ってでも抑えろっていう危険手当てでも、楽しむさ。

竜人の、番への機嫌を取らない訳ないという大人の事情でもある。


「スープが飲みたい!透明なやつ」


大人の勝手な思惑と関係なしに無邪気な答え。カナンは、久々に子供って可愛いと思えた。


「貝を使ったスープとか出るかもな!」


穏やかに日が沈んで行く街。3人は。夕食の時間に余裕で間に合うよう戻っていた。

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