3-土産店への探訪
カナンは良い宿に旨い飯、これって遊びでは?といつだったかに休暇は寝て過ごしていたのを思い返して、豪華さに格差を感じた。
眩しいのは陽射しのせいじゃないとわかっているも、太陽の傾く光を見て目を細めたカナンだった。
用事がないセリは暇だった。夕食までまだ時間がある。街が気になるセリの要望を叶えるため、ロードが外へ誘う。
「カナン付きなら良いワヨ」
シュルトの言葉で、出掛けるのが3人になった。
ロードとしては希望を言えばセリと2人が良いが、安全上もう1人いる事を許した。人が多いし土地勘もない場所だ。セリに怪我をさせる事はないが、何からにも守るには居ても良いかと結論が出た。
「ヨシ!セリちゃんどこ見たいー?」
でもムカつく。
俺よりセリに近づくな、と睨んでおいた。尻尾が揺れたのをセリが見ているのに、余計ムカっときた。
泊まる予定の場所から、歩いて出た。馬車から見た景色を思い返す。海まで歩いて行くのは遠そうだ。
夕食の時間まで戻るには?とセリは、「店に入ってみたい」と要望を言った。
移動した先は、高級そうな店が並んでいた。宝飾品、ドレスに土産店だろうか。
人通りは少ない。今は、市場は混んでいる時間帯か。
セリは、店の中から土産が売っているところを選んで入った。
カナンに開けてもらった重そうな扉を潜り、中に入る。雑貨と宝飾品もあった。
貴族向けの店。
「いらっしゃいませー」
さっと店員は訪れた客の服装を確認する。
質は良さそうだが、飾り気のない客に上客ではなさそうだと判断してガッカリした。貴族ならどんなに距離が短くても馬車で移動する。
そうじゃなかった分、甘く見られていた。セリは、それに気づかないフリをして店の品を眺める。後ろにはピタリとロードが付き従っていた。カナンはなんとなく店の品を眺めている。
「何かお探しですか?」
一応とばかりに声をかける。
「魔石を使った物がないか見たくて」
「高いし買えるのかなー?」
小馬鹿にした声だった。確かに魔石のついた物は高価になりがちだが、セリの手持ちでも買える物もある。
セリは。気になった物があれば買う気だった。
「金」
後ろから、ロードがドンと机の上に乗せると重い音がした。
その行動と金額に驚いている店員など気にも止めず品を見たセリ。
カナンとも話したが、気になった物はないと伝えた。
睨まれていた店員を無視して、懐に出した金を戻すロード。
(怒らせてまあ)
この店、商売に向いてないなとカナンは思って、扉を閉めたのだった。
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