(13)こちら問題なし

騒がしくもなく、貴賓室にひと塊でいる4人。

広さは十分、ゴテゴテの豪華さは鬱陶しいが無視すれば良い。


2日も乗っていれば船の揺れにも馴れた。これで地に足をつければしばらく慣れないのだろうが。潮のニオイにも気になることも無くなったな。


キースは少し不快そうだが、セリの様子に体調の問題はない。


グスタフは航行の行程が順調に行っているのを知っている。今いない2人が、面倒な事(=貴族の相手)を受け持っていることも。


用意していた酔い止めは、キースにのセリにも必要なさそうだ。

酒用ではなく、揺れに耐性がない者へスッキリさせる効果がある。


獣人でもその感覚の鋭さから、酔い止めを使用する者もいるがカナンもロードも必要ないようだ。ロードは船酔いしないと聞いていた。シュルトが準備しているため、カナンはそっちで渡せば良いだろう。


今、出されているハーブティーが2つ。

スッと出してすぐ部屋を出ていったのはこちらに配慮してくれたのだろう。商会側の関係者とみた。


キースの飲んでいるミントのお茶は、船酔いに配慮しての事か。それよりもっとスッキリする飲み薬は、子供向けには甘い味付けになっていた。


とことん、セリにもキースにも気遣っている様子だ。


セリは特徴的な味も平気らしいが、熱かったらしいそのお茶をロードが冷まして渡している。子供への世話焼きに見えるが、そういえば番同士だったなと思い出す。


年齢か体格差か、子供への対応に見えてしまう。そもそも竜人が他人に甲斐甲斐しくなどしないか。まだ付き合いの浅い男だがさっぱりした性格は付き合いやすそうだ。


カナンと言ったか、あちらの方が立場的にも複雑なようだが。今はまだ問題はない。


このお茶はキツイ味で苦手な者も多い、カナンもロードも呑まないな。

俺も好まない味だ。


出された紅茶は、香りが飛んでしまっている。上手くはないが船の上で喉の渇きを潤せた。


貴族の男は、足止めされこの部屋への許可は降りない。そう決められている上に、守るものがいれば強固な籠城だ。


セリは自由に動けるが、この部屋から出さないのが良いだろう。

数回、貴族の男を遠ざけるお膳立てして甲板に出ていたが、それも問題ない範囲だ。



そろそろ帰港する。


(そうなれば、また有象無象に煩わされるのか。)

いや、商会が関わっているのならすんなり移動できるかもな。


この後も、なかなか快適かもしれない。



キースもそれほど心配はないようだ。


「ま、どうとでもらなるでしょ?」


楽観している。セリの事もあるが、

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