⑨ 出航
いよいよ出航だ。
お見送りに集まった中に顔見知りを見つけて手を振る。
お別れはあっさりと。
新しいところへ行くと意気込む。
そう思って乗り込んだら、豪華な部屋で。
外に出ないように言われた。
海に興味津々だったけど、近づくのは禁止だ。
貴人と一緒であり、お客様扱いだった。警備に、メイドがつく環境でセリが部屋の外に出るのは難しい。これが通常の対応だ。護衛も多く、船乗りが動いているのを見ているだけだ。
そして部屋にの中では岩と木みたいに動かない2人がいた。
グスタフは座ったまま寝ている。
(お疲れ様。)
キースは机の前に座り、本を読むらしい。
あの姿勢になると、声をかけても反応がなくなる。
(姿勢は綺麗なんだけどな)
メイドさんが憧れの目で見ている気がする。
ちょっと落ち着かないとセリは思うが、2人は見えていないように過ごしている。
交流を温める気のない姿勢に、今回の責任者である貴族様は有能さwpアピールする方に変わったらしい。メイドともども、部屋の中で控えている。
(仕事はないのかな?)
ちょっと浮ついた雰囲気のままの部屋で、セリはマントで顔を隠した格好だった。
ロードの意向。
「ま、番を見せたくないで通る範囲だろ。」
「船だと人も多いしい、船内限定なら許容範囲カシラ」
護衛としても、あまり馴れ合う気のない相手がいることもあってこの格好をカナンとシュルトは賛成らしい。
「この格好が増える?」
視界が塞がれるので閉じ篭った気分だ。接しているロードの感触も落ち着かない。
「街に着くまでの間だ」
おとなしくしてなさい子供扱いされた気分になる。
特にやることもないので、セリはふて寝のように黙ったいた。
慎重に進んで3日。川を戻らず、街に向かっている。
海竜は強い存在で滅多に襲われないと聞いた。
日があるうちに進み、夜は護衛を立てて停留する。
船乗りの話を聞いて、釣りは難しそうだと判断した。セリには単純に腕力が足りないだろう。魔魚との力勝負に勝てそうにないからだ。
それでも水魔法の操作を教わっていた。部屋の外ですごそうとするセリの気持ちもわかった。
まあ面倒な人達だなと言う状況で、天気も良く魔物も見かけないので大丈夫だろうと思われている。
そう、彼女らの狙いがグスタフとキースであるから、セリはノーマークでいられる。
慣れもあるが、あまり良くない空気に外に出たくなるのも無理はなかった。
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