⑧ 海と水魔法

「水着って要るカシラ?」


シュルトが見せてくれたのは、ピッチリ肌に張り付いようなツルッとした素材の服。半袖半ズボンで色は黒。


水を吸わない、重くならない服。

海の依頼を受けるなら、必要だと聞いているがセリが見たのは初めて。


「ツナギになってるやつじゃないのか。」


長袖長ズボンが繋がった服もあるらしい。

「潜るわけじゃないから、こっちで慣れてからが良いかしらって。」


貴族様からの提供品に入っていたらしい。サイズからいってセリ用だ。

実質贈り物だが、番に他の男からの?…建前はあったが微妙な気持ちにカナンでもなった。


ロードも処分を決める。

シュルトが2人の反応を見て、売ることにした。まあ予想範囲内だ。


獣人の独占欲が強いのは知っている。こういう物は受け入れられない。


セリの考えはち違う方向にいっていた。

『場所にあった装備、防具を揃えるのが冒険者の資質。』

懐具合でケチると怪我をして更なる出費になるのが常だと、元冒険者からの話を思い起こしていた。


ちなみに、子供用サイズは直ぐ手に入らないからという配慮である。使われるかどうかより、贈り物をしたという実績をとった形だ。


もし女性の意見があったら、却下された類の贈り物だが実行された。



「街に着いてから、新しいの買おう」


即決だった。船に乗ってる限りは、護衛もロードもつくのでそれで良いだろう。ロード的に許せない範囲だと認識された。


番に新しい服(水着)が贈られるは、アウト。


服や装飾は特にその傾向が強い。ロードが関わっているものじゃないと着れなくなったが。支払いはロード持ち、素材を得て作られた服は上質なものになる。


オーダー慣れているので、違和感を感じない周囲であるためセリも直ぐになれるだろう。



そんな服、防具の話が出て海での水魔法は、修練が必要との話になった。

海の水は塩っぱい味で魔力が渦巻いている。操るには熟練レベルが求められると海の男に聞いたらしい。


商人からのまた聞きだった。


飲み水が出せるのは重宝されるのだが。地に足をつけている時とは違うバランスの取り方に苦戦する冒険者は多い。


揺れが落ち着かないで済めば良いが、船酔いの薬はシュルトが準備していた。


船から落ちた時のがめの水魔法


セリの当面の練習目標になった。海竜と船の近く、海に水を操れるよう練習する姿をカナンとロードが見守る。



海竜は強いため、大物が船に近づいてくることは早々ない。

備えようとするセリを止める気はなく、無茶しすぎないように見ていることにした。


護衛対象が慎重だと守るのが楽になる。


もうすぐ出るここに未練がなさそうで安堵しているのを隠してのんびりした時間を送った3人だった。

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