⑦ 貴族対応

キースと貴族様は、部屋にいる。


名前の知らない。セリと貴族との接触はなくしているみたい。

「ロードの意向?」


頷かれた。

止めないということは、カナンもシュルトも賛成のようだ。


「あんま、会っても良いことなさそうだからなあ」

「ソウネ」


面会拒絶?とセリは思ったが体外的には

“ロードが番を会わせてたがらない”で済んでいる。


その理由そんなに強いんだなーとセリは実感がなかった。


貴族の意向を拒否できる

そんな方法、病気くらいだと思う。そんな状況でも引き立てられることもあるのが階級社会なのだが、竜人という武力が近くにいるとセリの常識が麻痺してきそうだ。


セリの認識で来た人は、キースとシュルトが相手をしている。獣人のヒトだと思うが兵士には見えない。


なにせ、直ぐにロードに視界を塞がれてしまった。ヒントはシュルトっぽいかもという一瞬だけ。


兵士じゃないは、ハズレだ。一応の鍛錬はしているが向かないものもいる。

口が達者と言われるタイプのこの男は、セリに気に入られたら儲けモノという思惑で送られてきていた。


本人も乗り気だが、しつこくしない事妨害があるだろうと見込んでいるため強行してこない。


その見極めがうまいことでも重宝される男に、セリと合わせて百害あって一利なし。下手したらロードの暴走、男の生命の危機だった。


帰る送迎の任務だけで、それは流石に同情する。


“下手な事をしなければ多少ウザくても放置”の方向で一致した。


一緒に行けるのは決定したグスタフは、なんとか仕事を納めてくるらしい。ギリギリまで粘るって。大変だな


完全に他人事のセリだが、“仕事をしないと”という意識はある。このところ食事に寝床があってのんびりしていたが、いや雪の少なくなった森を駆け回ってた。


自立の計画を進めないと。真面目に。


けど、目前の楽しみとワクワクがあった。


海を渡る危険より、新しいところに行ける。

普段、知らないところに行くのに警戒心はあったセリもロードの側で安全であると信じている。


魔木と相対した経験もあり、セリは度胸がついていた。


「もともと慎重だったが見極めも上手い。」

「護衛としては、突然の動きにビビることになる。」


シュルトは気にかけるくらいで心配はしていない。その分、護衛として大変なのはカナンだった。


ロードは心配で仕方がないが、これも一緒にいられる壁を乗り越えなければ。


成人していない番とは、制限を設けられてしまう。こうしてべったりしていられるのも今だけかもしれないのだった。

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