⑥ 予定

「キースと貴族様の話次第で、予定が決まるだろーね。」


カナンはのんびりしている。

忙しいのは商人達とやり取りしているシュルトとグスタフ。



セリとロードの準備するものもなく、引き継ぎというのもない。カナンはキースの護衛なので継続の形だ。


「グスタフ、いつ寝てるんだろう?」


ここでやれる事をギリギリまでやるのか?残るのか。

まだ決まらないのはグスタフで、シュルトはもう行く準備のために動き出している。


セリは森に行くことなく、部屋で過ごしている。やる事といえば。去り際に顔見知りに挨拶をするくらいか。


極北の城を出る時よりは、あっさりした別れになるなと思っていた。



…のだけど。

夜の寝る前、人の少ない部屋でセリは少し寂しい気分でいた。


「子供は寝ーるっ」

カナンに撫でられ、そういえば背が伸びたかもと思い出す。


体格希望を少し抱くことにした。

実際、肉付きと顔色が良いのだがセリの実感にはないようだ。


ロードがせっせと食べさせている効果だ。

のびのびしていたのも良かった。何より楽しそうだし一緒の時間が多い。


着いてきた犬は気しない。

護衛とは存在感を消すものだが、セリの変調がないかの確認に声をかけていた。


まあ、役目上の事だいいだろう。今はセリの守りを強くしておいた方が良い時期だ。


…だが。

キースについて行くと、自由に動き回れる時間が得られなくなるのが心配だ。


お偉いさんとの時間が多く慣れば、のびのび過ごすということも難しくなる。何か考えておかないと、だな。


まずは入国だ。


普通なら馬車。

最短で転移魔法だが、極北の城を経由する必要が出てくる。魔力の流れの関係という話だが詳しいことは分からん。


飛竜を使う事を考えたが、まだ寒く荒れる風では安全に飛ぶのは難しい。


飛べないことはないのだが、だいぶアクロバットな飛行になる。

セリに負担が大きいと却下された案だ。


ちなみにシュルトも無理と言っている。一応、シュルトができるかで実行を検討している。


「寒いし、圧が酷い上に疲労も半端ないワヨ!」


獣人の身体能力でも対応できない者もいる飛行は、まだ早いと結論だ。安全を確保できる状況でセリの身体が成長しきったら。


一緒にランデブー、二人乗りできるのを密かに楽しみにしているロードだった。



そして次の朝。

「セリの入国許可の書類が来たよ?」

キースの話から今日きた貴族が休んで、仕事にきりがついたら船で海の街に向かう。


その予定を聞いて、海の街の様子や冒険者の依頼では何があるか?珍しい食べ物までカナンと話している。セリはロードの膝の中で、楽しそうにしていた。



楽しみな様子に嬉しくもあるが夜更かしはさせられない。遅くなる前にベッドへ連れて行かれる、セリだった。


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