② 知らせ

雪は相変わらずだけど、足がはまるくらいで進むのには楽な方。


雪一色の世界から、緑が見え小型に魔物の気配も増えていた。そうなれば、獲れる肉も雪に埋もれている木の実も取りやすい。


「セリちゃーん、そこだと雪で埋まっちゃうよ〜」  

「だいじょぶ、すぐ上がる!」


雪が積もった枝は、振動があれば落ちてきそうだけど。あの量なら少し痛いだけですむ。


危険をおかしてまで採取を頑張らなくても良いんだった。


覚えているだけとる。


健康的な食事、運動量が少なくちょっと落ち着かなかった。

今は、刺激的だ。


「セリ」


ロードに抱え込まれた。今日はもう終わりかな?


「あっちに行ってみるか?」

「うん!あの木のとこっ」


誰かと一緒に行けるのも楽しい。セリが自由に動ける上に、心配もない。

カナンもロードも、セリよりずっと強く体力もある。


不安もなく、気になるところに気ままに行ける。

装備は足の先が凍るように痛くなることもない。軽い服はサイズが合って動きやすく、重い荷物もない。


“食べ物を探さないといけない”プレッシャーがないのも大いに影響していた。


完全に浮かれていた。ハッチャケている。帰ったら、肉の大きい食事も嬉しい要素だ。


雪の積もる魔物が襲ってくる危険のある場所で、油断。その余裕ができるのは強力なお守り2人がいるお蔭だ。


番を害するのを許す訳ない竜人と。


「オレ、一応騎士なんだけど〜。」


護衛に慣れたカナンも余裕で対処していた。

セリが滑らないか心配していたのだが、本当に慣れているようで危なげない。


「ちょっと元気過ぎるかな。」

「問題ない」


カナンは気分的に疲れてきたが。ロードはセリと一緒にいられ、追いかけているの楽しいようだ。


「ま、楽しそうだしなあ」


怪我をした姿と自由にしてあげられなかった環境だった。

あれくらいかわいいもんだろう。


人族の子供にしては、体力があるなと獣人の2人は慌てずついていく。


セリは食べ物を探すのは、上手く雪を掻き分け木の実を掘り出す。

小型の魔物はロードが軽々、捌いていた。


カナンは他の群れで動いている魔物を威嚇して追い払う。


安全を確保して、セリの散歩に付き合った。限界まで遊びすぎないよう声をかけるも、歩みを止めることはなかった。


「帰るかー」

「帰ったら風呂な。」


カナンとロードの下へ戻り、セリは笑顔を見せたのだった。



収穫も十分で、森に異常もなし。


そんな自由な時間の変化が起きるのは、一通の報せから始まった。

報せを受けたのは、キースだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る