15-それぞれの予定

「ワタシはついていくワヨ?」

「オレもだな。」


酒を嗜む3人。


「グスタフは無理かー。」

頷くグスタフ酒を注いだグラスを渡した。


「何か取ってつけて来るかもしれない、がな」

「マァ、任せるワ」


グスタフは仕事の関係から単独行動が多い。元々、単身でダンジョンに行くグスタフの戦闘力も生活能力も疑ってはいない。


研究に没頭している時のが、食事を摂らなくなるので危ないくらいだ。

後から追いかけてくる形のが安心かもな。


「キースか。立場というのは面倒だな。」


夕食の時に溢していたが、旅に出たい気分なのだろうか。


『挨拶に行こうかな?って。』


「肉親に会いに行くのに、オレ達もいるのかねえ。」

「サア、会ってくださるなら行くのが筋なのカシラ。」


竜の翼にも関わりのある人物のことを思い描いた。普段気軽に会える方でもないし、会うとなっても肩が凝る。


「悪い人ではないんだけどなあ。」


とてもキラキラしい相手だ。


『竜の翼』の立ち上げる時に何かと、口を聞いてもらった。その縁で、ご機嫌伺いしないといけない相手な筈だが気楽な関係だ。


「ありがたい事になあ。」


美味い酒に、手頃な拠点。

「セリの環境として最高級なモノを揃えられたものネエ」


獣人の国に入ったセリをどうするか?


水面下での争いもあった。


セリが居れば、竜人ロードがついてくる。うまく操って利を得られると思う輩が多い事。


「番の悪影響になるって思うところに、誰が行きたいかってーの。」


「マア、何かありとしか思えない状況ネ」


教会からの勧誘、貴族の接近。

その後は冒険者の勧誘が多かったが、そこはキッパリ断れる。縁もゆかりもない有償無償だから。


「構ってやる義理もないなあ。」


旨い酒を飲む。シュルトと呑めば、スッとつまみを出してくれる。

カリコリと燻製ナッツを食べた。


「美味い。」

「セリは好みじゃないみたいなのヨネー。」


全員セリのために集められたようなものだ。まあ、断ることもできたが。オレ以外なあ。


シュルトは人族の体調管理、セリの希望するものを手に入れる専属の商人として。


シュルト本人もセリの今後が心配であるらしい。ちゃんと商人としての腕もふるえると見越しているとか。


グスタフは研究への資金を得て、薬師見習いのセリを教える知識量を与える。つきっきりの教師より楽で、面白い見解も聞けると乗り気に見える。


貴族関係の処理に、キースは外せなくなった。オレの上司的な位置でもあるんだよなー。


まあ移動するのは構わねーな。

心地よい拠点も良いが、刺激のあり外の世界が楽しみだった。

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