2-セリの暮らし

冒険者に正式になれるのは、15歳。

それ以前から、仮の登録なら可能だった。


低ランクの権限で“お使い仕事”を受けて生活をしている者も多い。

それができるのも、ある程度栄えた街にある冒険者ギルドに役割である。


セリが暮らしていた極寒の地には、なかった。教会で15歳になる前に、近くの冒険者ギルドへ行くつもりではあった。


その予定が狂ったのは、教会に兵士が助けられそこで食糧確保の仕事ができるのを目につけられ、北の砦に行くことになった。


予期せぬ強制的な勧誘だ。断っていたら何かしらの不慮の出来事を、教会が被ったであろう。まあそれも過去の事。



セリが獣人の国に到着してからも、冒険者になり生活できるようになるという目標は変わらなかった。


変化したのは、セリの事を番であるという竜人、ロードであった


冒険者として登録していたロードが、『竜の翼』というグループを作った。セリの意志が強かったため、自身も側にいるためだ。


メンバーは少数。

竜人の力を頼りに擦り寄る者も多く、辟易したものの上手くやれていて知名度も高い。


その理由は、竜人という種族ともう一つ厄介と毛嫌いされる狼獣人がいるからか?


王家と繋がりがあるという噂、商人からの支援があり資金が潤沢だという優良な冒険者グループとして認知されていた。


「『竜の翼』には、子供がいるとい噂もある。」

「それは、商人の手伝いのガキって話になったじゃないか!」


冒険者の間で時たま、噂に上るくらいには有名だ。


『竜の翼』に入れれば、金もコネもある。

竜人の力は知られているし、楽に稼げるんじゃないか?


どうにか、入れる方法を探っている者もいるが。

“あそこは。初期に決まったメンバー以外入れる気がないらしい。”



その認識で、仲間に入るのを諦めていたのだが。


今回、新人の冒険者が、竜人と狼獣人と一緒だった。

その事に、『竜の翼』に新しく加入するメンバーが現れた事を察する。


あれは誰だ?

子供なんかを入れるなら、俺が代わりに。


どんな奴なんだ?と好奇心を刺激される。


冒険心があるのも、冒険者たる証であるが。

確実な危険が加わっている。


一番の竜の玉に手を出そうとする輩が、いつの間にか消えてしまったとしてもセリは気づかないだろう。


冒険者は自己責任。竜の宝に手を出してしまった事に気づかなくても、危機意識が働かなかったのも…自業自得だ。



こうして、最強と名の上がる種族の2人に守られているセリだが、彼女は守られているだけの存在でもないのは。


まだ知られていない。

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