第3話 人という塵

 この世に蔓延るイジメというもの。

 幼稚園児の頃は単なる喧嘩で用いられる事がある言葉だが、俺には『○○君にいじめられた~』という言葉を『自分がアイツより下』と宣言しているに等しい。と捉えてしまう。

 壱年死組主席番号三十九番、渡辺桜雅わたなべおうか

 そんなイジメを受けていた平林奏士ひらばやしそうしという者に懐かれてしまった。

 本質上、とある作品のファン同士という立場になっているが俺は、その気になればコイツを突き放し、イジメという名の砂漠に置き去りにすることも出来る。

 何故そうせずにコイツに関わってやるのか。答えは簡単。

 『同類』だからだ。俺自身が教室の中では何も問題の起こさない平凡な学生で居たかった。居たかったから、平凡を装うためにコイツと一緒にいる。

 万一にコイツを突き放せばクズ人間の仲間入りだ。

 この教室で平林にイジメを働く輩と同じ立場なんてゴメンだから。

 

 そんなある日、風邪を引き一日学校を休んでしまった。

 布団に寝転び携帯電話をいじる俺はいつのまにか眠り、夕九時に目が覚めた。

 クラス全員の属するグループメッセージに二百近くの通知が来ているのに気づいた。

 見るのもめんどくさいので、『何の話で二百通も送ってくるんだようるさいんだけど…』と送った。

 次々と送られるメッセージに俺は驚愕した。

 

 木智山『今日さ、お前が居なかったから平林をいじめてたんだけどさW』

 今古川『アイツ知らないうちに屋上から飛び降りてさ』

 飯田『全治WWW一ヶ月WWW』

 

 スマホのキーパッドをいじり、メッセージを送信して壁に投げつける。

「めんっどくせぇ‼︎」

 

 何をやっても治らない手遅れのゴミ共とまともに会話する事に嫌気がさした。

 そんな中、ひたすらにネットから拾ってきたであろうグロ死体の画像を延々と送り付けてくる永井 望に狂気を感じた。

 

 三十分後、なんか知らんが平林はグループを退会した。

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