第2話 インショウ感染症
僕のクラス、壱年死組の『
別に何かする訳でも無い。『ただ単に貧困家庭』なだけで、クラスには彼女の居場所はない。
それでもいつでも笑っている。それは立場が分かっていないのか、分かった上で明るく振舞っているのか。
僕は小学校も違う彼女の事をよく知らないが、周りに嫌われているという雰囲気だけはなんとなく分かる。
なので自分は極力関わらない様に学園生活を過ごしている。
ある日、僕は忘れ物を取りに教室へ向かうための鍵をと職員室を訪ねた。
職員室に鍵は無いと聞き、そのまま教室へ向かった。
誰も居ないはずの教室に居たのは東だった。
「ッ死ね‼︎死ねッ!死死死死死死死死死死ねッ‼︎」
叫びながら手に持ったカッターナイフで何かを切り刻んていた。
僕は何に対して死ねと叫んでいたのかは知らない…というか知りたくないので忘れ物を諦め、静かに帰宅した。
次の朝、登校すると死組の教室で死んでいる東の姿が有った。
死体には切り傷がたくさん着いているが、気持ち悪い点が一つ。背中には制服のほつれさえ存在していなかった。
この出来事で学校側は「いじめはなかった」と主張したそうだが、その言葉には嘘以外が存在していなかった事に反発する者は誰一人居なかった。
「あいつ死んでマジうれしいわ」
「いっつもうるさかったもんなぁ、無駄に明るくしようとしてから回ってんの」
人の怖いところは、ここなんだろうなと。
『自分の嫌いな人』は感染する。今まで嫌われてなければ彼女は別の小学校から来た人にも嫌われずに済んだはずなのに、『嫌われている』という事実を彼女と同じ小学校だったものから仕入れた情報。たったそれだけの不確定なもので、皆が彼女を嫌いになってしまう。
……あ、僕も感染してるなコレ。
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