第11話 走れ、ヤングケアラー!って、気付いたら…。はあ…?「給食センター」に着いちゃったらしいです。何、この物語…?

 男性2人は、彼女を、離さなかった。

 これも、付きまといといえば、付きまといなのかな?

 「やっぱり、ストーカー…あっ」

 新聞で読んだある記事が、思い出された。

 「でも、違うんだったよね…」

 気持ちが、悪くなった。

 「恋愛感情がなければ、ストーカーにはならない」

 そうだったよね…?

 「…さあ、心配なさらずに」

 「誰かを助けるとは、気持ちの良いことです」

 「…」

 「ですから、ほら!」

 「我々に、ついてきてくれませんか?」

 「はい?」

 「お母様のためになる介護用品が、あるのですよ。ぜひとも、見にきていただきたいのです」

 一瞬の、迷い。

 それでも、ついていくしか、なかった。

 母親のためだと、思えば…。

 「動けますか?」

 「手を、どうぞ…」

 「平気ですよ。ここは、私の家の中なんですよ?」

 「失礼、いたしました」

 「介護サービスを、多めにしてあげたいものですよ。できることなら、ですけれどねえ…」

 「介護サービス?」

 役所の専門職員なのだろうと、疑うことがなかった。男たちのものと思われるワゴン車に、案内された。

 「どうぞ」

 「さあ」

 ブルルルル…。

 ワゴン車が、動き出した。

 男性2人の言葉が、消えた。

 「あの…」

 「…」

 「…」

 「どんな介護用品、なのですか?」

 「…」

 「…」

 激しく、悔やんだ。

 「しまった…。これって…。ストーカー行為からの、誘拐?でも、違う?恋愛感情がなければ、ストーカーじゃないっていうし。って、そんなことを言っている場合?この状況って、何なの?」

 怖くて、怖くて、声を出せなくなった。

 1時間近くが、経っていただろうか?

 ワゴン車のついた先は…。

 「ええ?」

 薄暗がりの中で、建物の壁に書いてある文字が、読みとれた。

 「給食センター」

 はあ…?

 「車から、降りてください」

 男性2人の気が、それた。

 「今だわ!」










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