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のんびり空を眺めていると、クラス委員という言葉が聞こえてきたので、意識を覚醒させた。


「それでは、まずクラス委員長を決めます。立候補者は居ますか?」


一本の手が上がった。




しかし、その手は彼の手ではなかった。


その手は、風紀委員会に入っている。


『夏葉りんご』のものだった


基本的に学校全体の委員とクラス委員は掛け持ち可能だ。


立候補者が出た時点で推薦になることはない。


ここで、奏多が手を挙げなければ、りんごで決定になってしまう。


奏多は、小声が届く距離にはいない。


「他に立候補したい人はいませんか。いなければりんごさんで決定になりますよ」


まだ、間に合う。



今から奏多を本気で睨んでこっちを向かれられれば、ジェスチャーで手を挙げろと伝えることができる……………はずだった。


私が睨んで、奏多は視線を感じこっちを振り返ってくれた。

そこまでは予想通りだった。


手を挙げろとジェスチャーでやったが、結局頭に?を浮かべた感じで前を向いてしまった。


待って、奏多目線で見れば何故か睨まれているだけになってないか。


私が奏多のことを嫌っているように見えてしまったかもしれない。


想像した瞬間、冷や汗が止まらなかった。


後で謝ろう、最悪土下座しようと決めたのだった。


「では、委員長は夏葉りんごさんで決定します」


あーあ、私の構想が一気に壊れてしまった。

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