19

そう俺はあくまで、相談役だったのだ。

なんで、こんなことになってしまったのか自分でも分からない。

俺は、彼女の恋愛サポートをしていただけなのだ。


去年一年生の時も二生生になってからも一回も同じクラスになったことはない。


なのに、わざわざ彼女は俺のところにやってくるのだ。

その原因は、俺の交友関係にある。



俺は、音海凪の幼馴染だ。


それが原因だ。



家もすぐそこで、徒歩二分で余裕をもってたどり着ける距離だ。


これは、高校一年の冬頃の話だ。


高校に入学してから、家は近いが凪と一緒に登校することは今までほとんどなかった。


もちろん喧嘩している訳でもないし、嫌いなわけでもない。


しかし、その日は、たまたま家を出る時間が重なったのだ。


成り行きで、久々に二人で学校に行くことにした。


二人でいる時間は久しぶりで楽しかったし、たまにはこういう時間もいいなと思った。


「そういえば、最近面白い女の子に会ったよ」



凪は昔からの付き合いである、俺にはあまり敬語を使わない傾向がある。


幼馴染の特権かもしれないが、そんなに嬉しくないのだが。


「お前が、面白いって言うんなら変わったやつなんだろうな」


こいつから女の子の話が出てくるのは珍しい。


てっきり、元カノと別れてからは女の子と距離を置いていると思っていた。

る人は男女問わず大体変わっている。


面白い存在を見つけることに関して言えば凪はプロだ。


「そんなことないよ、今回は普通の女の子だから面白い」



凪がそう言うからには普通なのだろう。


彼は、相手が誰だろうとウソを言うことは絶対にない。


「その子を話題に上げた以上なんかあるんだろ言ってみろ」


凪は、本当に仲の良い友達の話がほとんどだ。


自分の話もあまりしないしましてや、初対面の人のことを話すなんて言うことは基本的にはない。


「ありがとう。その子が壊れそうなんだ。いや、壊れそうに見えただけなのかもしれないけど。なんか、心の支えがなくてもう倒れそう…………に見えた」



多分、凪自身も自分が何を言っているか分からないのだろう。


だた、その子が壊れてしまいそうに見えたんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る