第4話 ハーレム!?
「昔から、永華の顔を見てるので
イケメンには耐性があります!!
周りに浮かれず、騒がず、仕事をする自信があります!!」
簡単な面接で、堂々と宣言した私を
即採用してくれた事務所の美人な社長さんは
最後に
「ちなみに、うちの事務所は
週刊誌にバレなきゃ恋愛オッケーだから。
最近あの子のお遊びが落ち着いたのは
貴女のおかげでしょ?
永華の彼女になるのは、色々大変だろうけど
頑張ってね!」
ぽんっと肩を叩いて、謎の励ましをくれた。
「いや、付き合ってないので!!」
「もー、隠さなくていいわよ!
永華はうちの稼ぎ頭だから、くれぐれもよろしくね!」
「あの、本当に…!」
忙しいのか、足早にいなくなる社長さんに本当のことを伝えられなくて。
今度会った時に誤解を解かなきゃな、と思った。
事務所で、会計や書類の整理をしたり、広告を作ったりとなかなか仕事はたくさんあったけど、やっと決まった就職先だ。
頑張らないと!!
周りの人たちも優しく仕事を教えてくれた。
時々、テレビで見たことがあるタレントやアイドル達が事務所を出入りしているのを見て、少し浮ついた気持ちになったけど。
集中しないと!となるべくそちらを見ないようにして仕事に没頭した。
(数日後)
「莉子さん、来て早々に申し訳ないですけど、現場のアシスタントが足りないみたいで。
手伝って貰って良いですか?」
「も、もちろんです!!」
マネージャーさんに連れられて、現場のお手伝いに駆り出された。
新作のティントのCM撮影らしい。
何人かのモデルを撮影して、クライアントの気に入った人が採用されるみたい。
……永華も参加してるみたいだ。
私がいたら、驚くかな。
永華が仕事している姿を見るのは初めてだから、少し楽しみだった。
現場に入ると既に撮影は始まっていて
フラッシュの音と、照明の明かりが賑やかしい。
見目麗しい、モデルたちが
各々に商品を持ってポーズを決めている。
……息をするのも躊躇われるような
緊張感が溢れる現場だ。
眩しいフラッシュとシャッターを切る音だけが響く。
「莉子さん!こっちの控え室で、お水やお菓子を準備してくれますか?
もうすぐ休憩なので!」
「わ、わかりました!」
「あと、人数分の椅子も用意して下さい!」
「はいっ!!」
見目麗しいイケメン達を鑑賞する暇なく、バタバタと走り回る。
控室の準備をしていると
「はぁー、疲れた疲れたぁー。」
「マネージャー、水ー。」
「!?」
キラキラと、輝きを放つ
美少年達が部屋に入ってくる。
マネージャーや、メイクさんなど
たくさんの人が取り囲む中で
「……また衣装チェンジ。
いつまで撮るの?」
「まぁまぁ、クライアントが決めかねてるようだから。」
「着せ替え人形じゃねーんだよ。
……怠いわぁ。」
早く決めろよな。
慌ただしく髪のセットやメイク直しをする中で、苛々とスマホを触りながら舌打ちしていた。
……この人知ってる。
最近テレビやCM、雑誌なんかでもよく見る。
若手タレントの麗央(レオ)だ。
TVで見るとニコニコしてて、爽やかな好青年って印象だったけど。
実物は案外、俺様……なんだな。
無意識にじっと
見てしまっていた私に気付いて
ぱちっと目が合う。
……うわ、やっぱり格好良い。
涼しげな目元と、キリッとした眉毛。
小さな顔。
オールバックにされた黒髪に
赤いティントがよく映える。
さすが芸能人……オーラが違う。
目が合っただけでドキドキしてしまった。
「ねぇ!そこの子!」
そこの子、とは?
「君だよ君!背の小さい子!
俺にもお茶頂戴?」
わ、私のこと?
周りのスタッフさんの視線で、どうやら私らしい。
お茶を持ちながら、そーっと近寄ると
「ど、どうぞ。」
「ありがとう!」
テレビで見るままの、爽やかな笑顔を見せてくれた。
「麗央、水しか飲まないだろ。」
マネージャーさんの話を無視して
「どこの事務所?」
話しかけてくる。
無視するわけにもいかずに
「……花宮プロダクションです。」
応えた私に、暫く考えた後に
「あぁ、永華のとこね!」
1人納得するように、ポンと手を叩いた。
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