第4話

「紺ちゃんは今日、何してたの?」

「今日もね、死にたくなるような一日だった」

「うん、分かるよ。僕も」

「……今日はね。『親友関係』を解消してきたの」

「……その話、聞きたいな」

「うん……」


紅くんが心配そうに促してくれたのをきっかけに、私はゆっくり話し出す。


私は多分。感情の出し方と、それを上手く←出す方法を知らない。

元から変なプライドがあって、私の言動の邪魔をしてくるのはそうだけれど、他人から、世間から、貼られている「優等生」というレッテルが本来の私を出させてくれない。

もっと、たくさん。友達とおしゃべりしたのに。もっと、たくさん。下らないことで大笑いしたいのに。

私が本来の自分を出すと、他人は私を「好奇の目」で見る。「珍しく話した」だとか「珍しく笑った」だとか。


それは多分。私が入学式の時から、他人が他人全員に興味のあるその時期に、一人勉強をして、スカしていたから。

でも、それもこれも全部。教育熱心な両親の意向で。私自身は別にそんなことしたくなかったのに。

頭ばかりが賢くなっていって。それと同時に、教室では「堅物」だと浮き始めて。さらに誰も「勉強の邪魔をしてはいけまい」と、私に話しかけてくれなくなった。


何も充実していなかった。

次第に、耐性がついて、何も感じなくなった。さらに「感情の出ない」子になった。


それでも。唯一感情が動いていたのは、入ってきた時から変わらない、紅くんのその姿を見ていた時。

他人の反応は私とは違った。他人は紅くんを受け入れなかった。だから、紅くんも次第に浮き始めた。

その時はまだ、話したことがなくて、私だけが紅くんを知っている状態だったと思う。


でも、そんな私でも。一人だけ、昔から学校が同じで上がってきた親友がいた。

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