第2話
私は、紅くんが言うことに対しては、ほとんど承諾していると思う。
なぜか、と聞かれたとしても、あまり明確な理由は答えられないような気もするけれど、一つ確かなことはというと。紅くんが誰よりも「綺麗」に見えているからだ。少なくとも私には。
それは容姿だけでなく、心とか、性格をも指している言葉である。紅くんを形容するのは「きれい」という言葉なのだ。
そうやってまた私は、ぼーっとしてしまうから、即座に我に返ってくる。
「紅くん、今日は何してたの?」
「今日も、紺ちゃんのことを考えてたよ」
そう強調して言う。
「あはは、困っちゃった? 今日も紺ちゃんのことを考えながら、君の絵を描いてた」
紅くんは、学校に行ってない。詳しく言ったら、学校を休んでいる。「不登校」っていうやつなのかな。
紅くんは、この前までいじめられていたらしいから。今は休んで、その休養に努めている。私も加わって。
学校にも、私も実際に担任から聞いたけれど、「体調を崩して、休養を取ることになった」ってされている。でも、明らかに男子の数人とか女子の数人の行動がおかしくなって、ずっとそわそわしていたり、物に八つ当たりをするようになったり、そのような人たちが、紅くんが学校に来なくなってから、行かなくなってから、現れたから、多分その人たちが、紅くんをいじめていたんだと思う。
紅くんが中性的な容姿だから。言葉遣いだから。
そして、そんな綺麗な姿で、今日も私にそんなことを言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます