第32話ライトと梨花

ライトと梨花についてはそっとしておこうと思った。

それでも耳に入ってくる。


ライトは半分火傷のまま眼帯をカッコ良くして、ホストに戻った。

プライドだと思う。


火傷なんて関係無かった、片目なったライトは一層魅力的だった。

トリプルの看板も片目のライトに変わった。

前より客は増えた。

ファントムだ、オペラ座の怪人の

ドラキュラに、血を吸われたい、女の子のように

少し不気味なライトに皆んな惹かれていた

セルフプロデュースの天才だ。


ファントムは高い塔のてっぺんに姫を閉じ込めた。


ミロのビーナスが、片手がないからこそ

美しいように、原形の無い両腕を隠さず、

生活する梨花は美しいかった、


爛れた皮膚を隠す事なく、好きな服を着る

皆んな振り返る、でも、梨花の美貌に、

二度見してしまうのだ。


ライトは心配していた。

堂々とする梨花を、また何かに巻き込まれてしまわないかと。

梨花の手は、痛々しいままだったが、

生活に支障はなかった。


ある日ファントムのライトは

部屋を真っ赤な薔薇で埋め尽くしたそうだ。

花びらの絨毯、壁一面の薔薇

梨花はその薔薇の中で目を覚ましたらしい。

ライトは白雪姫の様だったと言ったと


そしてひざまづき、真っ赤な皮膚の梨花の手の薬指にピンクダイヤのついた指輪をはめたらしい。


ライトは

一生守らせてください。

リカがこの世を去る日が来たら俺はそばにいる。


と、いったんだと、カッコ良すぎるだろ


梨花は、ありがとうっ言って泣いて


それから


  ライトの事命に変えても守ります。

と答えたらしい、


ライトと梨花は小さな結婚式を挙げた

俺も呼ばれた、


それは、それは美しいかった。

特別なドレスじゃない、

シンプルな純白のドレスに

髪は自然に下ろしたまま。白い薔薇の冠を

被っていた。


お姫様だ。

もちろん羨ましいかった。



ライトは結婚祝いの日には必ず部屋を薔薇でいっぱいにしたらしい。


ネットにライトが自分で画像を上げた


梨花が薔薇の中で寝ている姿を


コメントは

俺の姫。


それだけ。

みんなが、ライトと梨花の事を知る事になった。

ライトはホストを辞めた、

看護師になった。

働く必要ないほどの貯金があったらしいけど


梨花のおばーちゃんは、

リカの花嫁姿をみてすぐ、眠るようになくなったそうだ。


梨花は

  おばあちゃんが、ボケててくれて

  よかった!と言ったらしい。



梨花の手を心配する事なく亡くなったからだ。

一年もしないウチに梨花は妊娠した。

とても喜んでいたらしい。

名前はライトに任せると。

リカは手袋や帽子を編んで過ごしたらしい


ライトが梨花の料理は本当に美味しいと

お兄さんによく自慢していたそうだ。

もう33歳になった。

リカとライトの話しはホストとキャバ嬢の

おとぎ話しの様に噂になった。

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