第5話不眠症になる

夜勤が続き、酒飲んでもある日を境に眠れなくなった。朝まで、起きている事がしばしば。

それで、アリナミンVを飲み疲労回復を図った。心なしか、疲れが取れた。

だが、症状は進み全くと言っていいくらい、眠れなくなった。三日に一度3時間程度か。

僕は怖くなった。

医学書を調べる。そこには「不眠症」と書いてあった。

だが、どこで治療すればよいのか?

精神科は抵抗がある。


そこで、良く飲みに行く店の近くのビルに、「心療内科」があった。勇気を振り絞りドアを開けた。中は清潔感あふれ、クラシックが流れていた。

主治医に、

「よく来て下さいました。相当、勇気がいったでしょう?」

「はい」

「問診からすると、不眠症ですね。薬出しときます」

「はい。ありがとうございました。」


その晩、初めて睡眠薬を飲んだ。今までが嘘のように眠れるようになった。

いつも増して、動ける僕は引っ張りだこであらゆる仕事をこなしてた。

病気前以上働いた。コンテナ船、木材、パルプ船、自動車船、インゴット船で現場を指揮した。

周りは言う、

「羽弦君を見てるとかわいそうにみえる」と。そうなのだ、うち課の仕事がない日は休みなのだが、器用貧乏だから他の課の仕事の応援をしていたのだ。


うちは、土日は仕事だ。

休みも不定休。だから、こんな仕事していたら、落ち着いていた不眠症が暴れだした。

27才の頃の話しである。

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