156 精霊女王の決断
前の記憶があるとはいえ、この世界の、しかも精霊の国以外のことをそんなに知らないんじゃないかな?
そのまま野に解き放つのは危うい気がするけど。
「どうせなら僕たちと一緒に旅してみる?一緒に世界を周ってみようよ!」
「ちょっ!クリスー!」
流石に一緒に旅をするとなると放っておくことはできず、割り込んだ。
「女王様ちょっと待ってくださいね!」
クリスの真意を聞くために、女王から引き剥がす。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃない!クリスはなんであんなこと言ったの?」
「えぇ〜旅の初心者同士だから一緒でいいかなっと思ったんだけど?」
自由人か!
提案するにしても事前に仲間に相談しよう??
「リサお姉ちゃんは一緒に旅するのイヤ?」
今さら聞かれても嫌だとは言えないでしょう!本人の前で!
クリスの言う通り旅慣れしているわけじゃないから、逆にあまりお勧めはしないと思うけど。
じいじも恐らく私も規格外で、クリスもなんだかんだ言ってフリーダムだからな。
一緒に旅をしても私たちの行動が精霊を思い出させて余計に鬱な状態にならない?
でも私も前の記憶があるし、それ関係については色々お話できたりするかな?
「まずは腹を割って話たいと思うのですが」
「…そうですね。どちらにしても立ったまま話すことではありませんでしたね」
女王の部屋に入ってからそのまま話に入っちゃったからね。
隣の部屋に案内されカウチソファっぽい椅子に座る。
「えぇ〜っと何から話していいか」
「そうですね、率直に聞きたいのですが、あなたから見て私が旅に同行するのは足手まといになりますか?」
おぉ、直球ー!
私が考えていたことは違うけどね。
クリスとのやり取りを目の前で見ていたらそう勘違いしちゃうよね。
「女王様の実力を知らないので、足手まといになるかどうかはわかりません。私が懸念しているのは別のことです」
正直に話すのはちょっーと気が引けるけれど、自分たちが規格外ですってね。
まあ拗れたくはないので正直に伝えますけど!
ちなみに、クリスの正体が世界樹ということは伝えていいと確認している。
クリスが妖精や精霊に気づきやすいのと同じように相手も気づきやすいので下手に隠さないほうがいいらしい。
「まずクリスも言った通り私たちも旅慣れはしていないので何が起こるかわかりません!まさに珍道中になる可能性があります!」
「珍道中…?」
「そう、珍道中です!」
普通に旅をしていても絡まれたり巻き込まれることがあるので!
「それに、あまり言いたくないですが、ここにいる人はとっても規格外です!」
「規格外…?」
「そう、女王様に旅を提案したクリスは実は世界樹なんです。しかも旅を始めたのはほんの数ヶ月前ですし」
「世界樹…?」
普通は樹が旅するなんて思わないよね。
女王もすごく戸惑った表情をしていた。
でも、規格外なのはクリスだけじゃないんですよ。
「私も…ちょっと色々面倒な経歴がある人間で」
自分の詳細はちょっと伝えづらくて濁してしまった。
じいじは私が元勇者だって知っているけど、クリスに伝えていなかったことに今更気づいたからだ…!
わざわざ自分の黒歴史を話したくないし、まあ必要になったら説明すればいいかと放置していた私が悪いんですけどね!
話すなら初対面の精霊よりクリスが先だと思うから。
「ともかく規格外です!特にじいじが!魔法も持ち物も考えも規格外です!!」
ここは念押ししてでも伝える!
慣れた私でさえも時折突っ込みたくなるときがあるからね!
あとから阿鼻叫喚の後悔とかして欲しくないからね!
「だからね、慎重に考えて欲しいんです」
「はい。私は皆さまと一緒に旅に行きます!」
「ちょっとー??」
あれー?おかしいなー??
慎重に考えて欲しいって伝えたはずで、はいって頷いたはずなのに、旅に行くって即答なの??
幻聴かな?
そう思ってクリスたちの方を見たけど、クリスはわくわくした顔をしている。
じいじはいつも通り微笑んでいるからどう考えているかわからない…。
うん、クリスの表情を見るに幻聴ではないようだ。
「えっと、慎重にとお伝えしたと思いますが…」
「はい、考えましたよ。そして国を出るタイミングは今しかないと思ったので。よろしくお願いします」
お願いされてしまった…!
なんでかな?規格外って伝えたよね?
何でかな?
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つ、次を更新できるか不安な状況ですが、頑張ります!
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