126 森ダンジョン探索
「11階層は森ダンジョンの始まりになり、ウルフ系が出てきます。もちろん10階層以下で出てきたゴブリンもでてきます」
「ウルフ系ならそこまで警戒しなくていいかな?」
「探索力が重要ですが、まあ気を抜かなければ問題ないかと」
森の中だから気配を消して近づいてくるウルフの気配をちゃんと捉えられれば、2人の言う通り、11階層は問題なさそうだ。
本当に11階層と同じであれば、だけど。
「じいじが本当に11階層のみにしているかは怪しいと思うけど」
「「えっ?」」
クリスもリアンさんも私の言葉にキョトンとしているが、それは11階層の魔獣しか出てこないと思っているからだろう。
それは甘い考えだ!
そもそもじいじが修行の一環としてこの森ダンジョンを作ったのだ!
イメージは11階層だけど、おそらく11階層の魔獣や罠が仕掛けられると私はみている。
「リサ様、それを言っては修行にならないのでは?」
「「えっ!?」」
ほらーやっぱり何にか11階層にはないものを仕掛けている!
本当は情報を鵜呑みにしてはいけないとか、油断してはいけないとかの教訓にしたかったのかもしれないけどさ。
初めてのダンジョンで鬼畜なじいじの修行をそんなに体験していないクリスにはまだ早いよ!
視線でそう伝えるとじいじは仕方ないですねと肩をすくめる。
「ということで、じいじが作ったという前提で取り組むよ!といっても優先に探索するのはクリスだね!」
「えー、ぼ〜く〜?」
じいじが何やら難易度の高いダンジョンを作ったと聞いた状況では尻込みしたくなるのもわかるが、これもクリスの経験のため。
それに私は魔の森での魔獣狩りで経験は豊富にあるので、なるべくクリスに体験して欲しいという気持ちもある。
決してじいじの作ったダンジョンを探索したくないというわけでは、ナイヨ?
「リサお姉ちゃんが考えていることもまあわかるし。元々、低層は僕が中心で行う予定だったし…わかった!今回は僕が中心で探索するね!」
「うんうん!クリスも諦めが肝心だよ!」
「諦めとか怖いこと言わないでよ!」
そうだね、何事も挑戦って言い方のほうが良かったね!
改めていうのも何なので、笑顔で誤魔化した。
じいじの森ダンジョンが普通じゃないことを踏まえ、攻略に取り掛かる。
あまりモタモタしているといつの間にか罠が増えていそうだし。
「メインはクリスで、その補助をリアンさんお願いします!では出発!」
「おー!」
一歩森に入るとそこは石造りのダンジョンだったととは思えないほどの森になっていた。
足元には草が生えていて、草を踏みしめるとちゃんと土が見える。
影になっている木の根元は湿っていて、今にもキノコが生えてきそうである。
「見事に森だね」
「本当にじいじすごいよね」
「ダンジョンと見分けつかないですね」
ダンジョンが不思議パワーで環境すら作れるものだと知っていても、この短時間でここまで環境を変化させることができることに驚く。
じいじがイメージしたからかも知れないが、この森の再現の精度は飛び抜けているように感じる。
そう関心している間にも魔獣たちはこちらの匂いを感じ近づいてきていた。
リアンさんが言っていた11階層から現れるウルフが3匹のようだ。
気配は消せても匂いは難しいから、どうしても鼻が利く魔獣には見つかりやすい。
それにもう1匹こちらの様子を伺っている魔獣がいるみたいだ。
さて、クリスたちは気づくかな。
「もう来たみたいだね!」
そういうとクリスは3つの矢をウルフの方に飛ばした。
そしてその矢の行方を確認することなく、クリスはもう1本の矢を放った。
その矢は左側の木の上から様子を伺っていたヘビの魔獣に見事命中。
「流石だね!」
「森の中で気配を探るのは種族的に得意だからね!…あとおじい様との訓練もあったし」
クリスの種族というか世界樹だからね、森の中の探索はお手の物みたいだ。
あと人の身になってから初めての訓練が森の中でじいじとの模擬戦だったから、それを思い出してげんなりしている。
まあじいじの訓練はね…私も森での訓練を思い出して遠い目になってしまいそうだ。
すぐに首を横に振って恐ろしい記憶を振り払う。
「油断せずにサクサク攻略して行こう!」
「了解!」
気を取り直して攻略へと乗り出した。
もちろん油断はしない。
リアンさんにも確認したが、様子を伺っていたヘビの魔獣は11階層にはでない魔獣だった。
やっぱりじいじは色々仕掛けているようだ!
その後も探索していく先、11階層にいないフォルクスやボアの魔獣が出てきたり、落とし穴や幻覚などの11階層にあるはずのない罠のオンパレード。
私たちがダンジョンを進んでいる間にどうやら攻略の難易度をひっそりあげたようだ。
更に驚いたのがあるはずのない薬草類が生えていたことだ!
ちょっと図鑑で見たことある薬草と似ている気がして、鑑定してみたら本物だった!
こうなるとダンジョンというより未知の魔の森の探索に近い。
「…ところで思ったんだけど、この森の攻略出口ってどこかな?」
「あれ?」
通常のダンジョンであれば、下層への階段がゴールの場所になるけど、この部屋に階段はなかったはず。
クリスの言う通り、この森の攻略ってどこまですればいいんだろう?
あれ?もしや森の中を全部攻略しないとダメなパターン?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新年あけましておめでとうございます!
今年も更新していきたいと思いますので、
よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます