123 ゴーレム召喚

耳がおかしくなっているのか、じいじの言ったことがよくわからない。

じいじ以外が混乱しているしているのを余所に、じいじは少し離れたところに移動した。


「…ここでゴーレムと?」

「えぇ、確認したところこの部屋は次の階層に行くまで魔獣の再出現はないようです。時間もありますから、ここで練習してもよろしいかと」


聞き間違いかと思って復唱してみたけど、聞き間違いどころか新たな情報が追加されました!

魔獣の再出現がないとか、いつどうやって確認したの?!

ツッコミたいけど…まあ、じいじの言うことだからなぁ、仕方ない。


「再出現しないって理由は?なんて無粋なことは聞かないけど、ゴーレムをどうやって連れてくるの?」

「はい、こうやって」


じいじが腕を振ると目の前の地面に光る魔法陣が現れる。

そしてその中央から何かがゆっくり上がってくる。

ってこれってつまり、そういうことですよねー!


「…ギイィ」


現れたのはやっぱり予想した通り、ゴーレムでした!

じいじが召喚したってことだよね?

つまりじいじが契約しているゴーレム?

でも契約しているゴーレムと戦っていいのかな?

強度を確かめるため手加減できないし、下手したら倒しちゃうよ!?


「大丈夫ですよ。このゴーレムと契約しているわけではないので。わかりやすく言えば、ダンジョンの再出現ポイントをここに移動させたと思っていただければ」

「いや、それってダンジョンを操作しているってことだよね!?」


流石にツッコまずにはいられないよー!

じいじはダンジョンマスターだったの?

いや一緒に旅していたんだからそんなワケないよね!?

わかりやすい説明どころか余計混乱してきたー!


「深く考えないで、さっさと倒してください。とりあえず一般的なゴーレムの強さから確認しましょう」

「いや、ツッコまずにいられるか!ってもう動き出したんだけど?!」


じいじはこちらに理解する時間を与えず、ゴーレムをけしかけてきた。

もうちょっと、あり得ない事態を飲み込む時間をくださいなー!

無茶苦茶なじいじを何度も目の当たりにしてはいますが、慣れるとは限らないんですよ!


「えっと、とりあえず弓で攻撃してみるね!」

「クリスお願い!」


こちらに向かってくるゴーレムに動揺している中、真っ先にクリスが声をあげてくれた。

世界樹の記憶もあってじいじの無茶振りにも耐性があったのかも知れない。

ありがたやありがたやと拝みたくなる。


まずは魔力を込めていない矢がゴーレムに当たったが、かすり傷がついた程度だった。

世界樹とはいえ、木の弓矢ではゴーレムを倒すのは難しいようだ。


「もう1回!」

「ギイッ!」


次は魔力を込めた矢がゴーレムの顔の部分に当たると、そのまま崩れ落ちた。

どうやら魔力を込めればクリスの弓でも破壊できるみたいだ。

そのままゴーレムはドロップの魔石を落として消えていった。


「うん、通常のゴーレムなら魔力を少し込めれば大丈夫そうだね!」


ゴーレムはDランクなのもあって物理だけでは難しいが、魔力を込めてしまえば破壊するのも楽になるようだ。

クリスがゴーレムを倒したこともあり、緊張が緩和した。


うん、そうだね、じいじがなんでゴーレムを召喚できるとか考えても仕方ないよね。

できる手があるなら利用したほうが利口だよね。


「よし!じいじ私にもゴーレムちょうだい!」

「はい」


すぐ召喚されたゴーレムに、まずは魔剣でぶつかっていく。

石のゴーレムなので剣が当たった瞬間甲高い音が響いた。

さすがに硬いな。

でもこれは硬さを確認するためにあえてしたことだ。


次は本命、魔剣に魔力を纏わせるとその刃はすぐさまゴーレムに食い込んでいく。

そのまま振り切ればゴーレムの頭を吹き飛ばすことができた。

込めた魔力はボール系の魔法1発分くらいなので、すぐ自然回復で賄える。

この少量でこの切れ味になるならゴーレムが複数いても対応はできそうだ。


「リアンさんはゴーレムとも戦ったことあるんですよね?」

「…えぇ、通常のゴーレムは大丈夫です」


ちょっと固まっていたリアンさんだが、なんとか起動してもらえた。

そうだよね、初見でじいじの無茶苦茶な行動を理解できないもんね。

何度か対応した私でも時たま驚く無茶苦茶な行動力だもん。

仕方ない、仕方ない。


「単体では問題ないですね。では複数のゴーレムの対応ができるか試しましょう」

「複数?!」


そう言ってじいじはこちらの確認をする前にゴーレムを複数体召喚してしまった。

しかもどうやら1人ずつ対応できるか確認するため3体のゴーレムが3グループも召喚されている。


絶対その召喚ってダンジョンの出現ポイントをいじっただけじゃないよね!

どう考えても、絶対ダンジョンを操作しているよね!?


「そんなこと考える暇はないですよ」


余計なことを考えているのを読まれたのか、じいじがゴーレムをけしかけてきた!

これは、考える暇がない!

1人がそれぞれ倒すしかないのでは!


「とりあえず各自対応して!」

「はーい」

「わかりました」


クリスは気の抜けた声で、クリスさんは真面目な声で返してくれた。

とりあえず今からは自分に向かってくる3体のゴーレムに集中する!

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