118 2階層のボーナスドロップ

「リアンさん見つけてくれてありがとう!」

「低確率だって聞いていたから気にも留めてなかったよ〜裏ダンジョンすごいね!」


ボーナスドロップの宝箱は裏ダンジョンならではの報酬かもしれない。

確かに私たち以外のパーティーだったらもっと苦戦していたはずだし、それを考えると報酬が魔石と肉だけじゃ釣り合わないよね!


「今回はどんな物は入っているかな〜?」

「次はリアンさんが開けてみる?」


1階層の宝箱はクリスが開けたのでリアンさんに提案してみたが、ものすごい勢いで首を横に振られてしまった。

今回はリアンさんもオークの討伐に参加したのだからと、再度勧めてみても首の勢いがすごくなるだけだった。

そういうことで今回は私が開けることになった。


「さてオープン!…玉?」


スキル玉に似たようなものが出てきたぞ?

でも色がついているから何か魔法かスキルが入っているのかな?

こんな時は鑑定さんの出番です!


【帰還石】

ダンジョンの外へ行くことができる

魔獣と相対しているときでも有効


「帰還石…だと!」


ダンジョンからの脱出方法を考えなければと思っていたところに、何ともタイミングが良い!

これがあるなら裏ダンジョンにいる不安はなくなった!

守護者のドロップが次の階への鍵しないから、2階層ボーナスドロップは帰還石と決まっているんだろうか。

本当のところはわからないけど、都合がいいのであまり深く考えないでおこう。


「この帰還石も希少なものです!冒険者なら手に入れておきたいものです!特に深層を目指している冒険者パーティーからは喉から手が出るほど欲しいです!」


帰還石のドロップにリアンさんは興奮している。

それだけにこの帰還石が希少なものであることがよく伝わる。

魔獣と相対してもダンジョンから脱出できるから、例えば倒せない魔獣に出会ってもすぐ逃げることができるからね。

今回は裏ダンジョン脱出の際に使うことになるだろうけど、もし他のところでゲットできたら売らずに取っておきたいな。


ぐぅぅ〜

小さく誰かのお腹の声が聞こえた。


「お腹空いたよ〜」

「ごめんごめん!すぐ準備するよ!」


散々トンカツを作ると言っていたのに、その度に何か起こって中断している状況だ。

私としてもお腹が空いてきたしすぐ取り掛かろう!


「リアンさんがドロップしたオーク肉もらいますね?」


アイテムボックスの中にオーク肉もあるが、せっかく新鮮な(?)肉があるのであればそちらを使おう。

ドロップのオーク肉は1塊でも結構な大きさなので、4人分なんて余裕である。

クリスは小柄ながら結構な大食いなので、お肉を分厚く切って噛みごたえのあるトンカツにしてしまおう。


「それはいいのですが、今からですか?ここで?」

「うん!できたてが美味しいからね!サックサクの作りますよ!」

「リサ様、こちらに置きますね」

「ありがとうじいじ!」

「いえ、あのちょっと…?」


私が言う前に、いつも使っていた小型のシステムチッキンを出してくれた。

これがあればどこでも料理ができるからありがたい。

料理前にちゃんと手洗いをしてから、オークの塊肉を食べやすい大きさに切っていく。

その間にじいじは小麦粉や卵やパン粉を準備してくれる。

さすがじいじである。


切ったオーク肉に塩胡椒を振り、小麦粉の中に入れてポンポンと薄くつけていく。

それをじいじに渡し、じいじが卵とパン粉をつけていく。

私は手を洗って、その先の揚げの準備をする。

このシステムキッチンにはコンロが3つあるので、油の入った鍋を2つ温め、油を切るための皿を置き、準備は完了。

後は準備できたトンカツを2つの鍋で順番に揚げていく。


「えっ?ここで?ダンジョンの中で揚げる…?」


リアンさんが何か言っているが、揚げるのに集中したいので、後で聞きます!

トンカツにとって一番大切なのは揚げの時間なので、一時も目を話したくないのだ。

1枚1枚丁寧に揚げていく。

入れた瞬間ジュワッと揚げる音が油のいい匂いと一緒に広がっていく。


その音にトンカツを食べたときのサクっジュワを思い出してお腹が鳴りそう。

鳴らないようにグッとお腹に力を入れて、揚げる音に耳を澄ませる。

パチパチと小さく高い音に変わったら、すぐに取り出し、トンカツが小さく振動しているのを確認して、油切パッドに置いていく。

後は予熱で中に火が入るのを待つだけ。

そして食べ頃になったトンカツはアイテムボックスに入れていく。

これでまた食べたい時にすぐにトンカツが食べれる!


さて昼食分のトンカツは食べやすい大きさに切っていく。

1人2枚くらい切っておこうかな〜。

ダンジョンでいっぱい戦闘したからみんなお腹空いているはずだし。


切ったときのサクッとした音と揚げたいい匂いに、このままつまみ食いしたくなる。

でもクリスの期待の眼差しを裏切るわけにはいかない!

手早く切って、じいじが準備した千切りキャベツが乗っている皿に盛り付けていく。


あとは、エルフの里で族長に教えて作ったテーブルと椅子を出して、前に作っておいたご飯とスープをアイテムボックスから取り出してテーブルに並べていく。

最後にメインのトンカツを並べて、これで完成ー!


「じゃあ食べよっか!」

「待ってました−!」

「ちょっ!このテーブル!椅子!」

「いいからまずご飯!座って食べるよ!」


叫んだリアンさんはクリスに言われて動揺しながらどうにか座った。

クリスは今にも食べたいと目を爛々している。


「じゃあいただきましょう!」

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