117 オークキングとの戦い

通常のオークキングは物理に寄っているから体力が強化されているなら相性がいいはずだ。

けど、ゴブリンキングのように知らない魔法のスキルを持っているかもしれないから無謀に突撃するのは危ない。


「クリスやっぱり強化種!矢と魔法で様子を見るよ!」

「は〜い」


クリスの緊張感のない返事を聞きながら戦闘をスタートすることになった。

まあ気負いすぎてもいけないしね。

ゴブリンキングの時と同様、クリスの矢と私の魔法で攻める。

さてどう動くか。


「ブビィッ!」


オークキングは私の魔法から避けるように動き、その逆から迫っていたクリスの矢を持っていた棍棒を振り上げ、破壊した。

魔法を避けるところをみるとゴブリンキングのような特殊なスキルは持っていないようだ。

でもクリスの矢を物理で破壊できる辺り、やっぱり1階層のゴブリンキングより強いみたい。


さて、どうするか。

安全に倒すならきっと魔法で力押しがいいと思うけど、それじゃ折角のダンジョンを楽しめない気がする。

それにエルフの里では魔法ばかり鍛えていたから、そろそろ近距離戦もしておきたいところだ。

じいじもいるからある意味安全に鍛えられるし。

そう思ってじいじに視線を送れば、じいじも頷いてくれた。

念のため、愛用している剣に魔力を通しておく。

これで普通のオークキングより固くても、傷をつけれないということはないだろう。


「久々に剣で戦いたいから、クリスは矢で牽制してもらっていい?」

「わかったー!魔力を込めるのは?」

「込めなくていい!私が巻き込まれるぅ!」


なんか1階層のゴブリンキングでも同じ会話をした気がするんだけど!

クリス学習してよ!


「冗談だよ〜力みすぎないようにね!」

「緊張をほぐすためだとしても時と場所を考えてっよ!」


クリスと言い合いをしている内に、痺れを切らしたオークキングが近づいてきちゃったよ!

巨体なのに移動スピードが早い気がするんですが!


近づいてきたオークキングが振り回してきた棍棒を回避して剣を構える。

オークキングが持っている棍棒も木じゃなくて金属のようだ。

クリスの矢を破壊できたのはその筋力と棍棒の強度が合わさった結果なのかもしれない。

なので基本は回避。


「こっちも忘れないでね〜」

「グッ!」


目の前の私に集中しすぎてクリスから注意が逸れたのを感じとったクリスが矢を射る。

その矢がオークキングの肩を貫いた。

私もその隙を逃さず、棍棒を持っている腕を切り落とす。

落ちた棍棒はそのままアイテムボックスに収納させてもらうよ。

これで相手は武器なしだ。


2対1が卑怯だとか武器を取り上げることは卑劣だなんてことは思わない。

どんな相手でも命を大事に確実に勝てる方法で倒す。

それが魔獣で、しかも裏ダンジョンなんて言う未知の場所でのことなら気を抜くなんてことはしないよ。


「だからこれでお終い!」


武器がなくなって動揺したところを狙って首を斬り飛ばす。

剣に魔力を通していたこともあり、首はあっさり切ることができた。


「ゴブリンキングよりあっさりした決着だね?」

「ゴブリンキングより弱いってことじゃないけど、正攻法の強化だったからじゃないかな?」


ゴブリンキングは奇術っぽい魔法のスキルがあったから時間がかかっただけなのだ。

決して、オークキングがゴブリンキングに劣っているというわけじゃなかったと思う。

スピードだって早かったし、以前倒したことのあるオークキングと比べると硬かった。

持っていた武器だって金属製の強化されたものだったし。

それにオークキングの他にオークの群れもいたから難度も1階層に比べて上がっていただろう。


「あっ!ドロップ!」

「次は魔石以外があるといいな!」


さてさて、オークキングのドロップはなんでしょうかっと期待を込めてみたのですが、

残念!また魔石と鍵がドロップしました…。

そして鍵を鑑定すると案の定、3階層への鍵でした。

恐らくダンジョンの入り口で使えば3階層に通じるんだろうな。

しかし3階層に進んでも4階層への鍵がドロップする未来しか見えないんだけど。

もしかしてこの裏ダンジョンって入った冒険者を帰す気がないのかな?

まだ半日程度だからそこまで深刻じゃないけど、ずっと出れないかもしれないと思うと不安が拭えない。

帰るための方法が他にないか探していかないとなぁ。


ちなみにリアンさんが倒したオークの群れも半分以上は魔石で残りがオーク肉でした。

オーク肉は美味しいけどさ!

裏ダンジョンに閉じ込められている状態だから肉があるのは嬉しいけどさ!

折角の裏ダンジョンなんだから、もっと豪華なドロップはないの!?

思わず嘆いてしまった。


「そう言えば回収したオークキングの棍棒は?」

「あっ!えっと…うん!ある!」


攻撃力をなくすために奪い取った棍棒はそのままアイテムボックスの中に残っていた!

ダンジョンで魔獣が使っていたものは身体と一緒に消えていくはずだけど、アイテムボックスに入れていたおかげかな?

これはダンジョンの他の魔獣でもできるか試す価値がありそうだ。

魔石や肉などのドロップばかりでちょっと落ち込んでいたが、面白い発見で顔がにんまりしてしまう。


「リサお姉ちゃんの機嫌が治ったところで、早速準備しよう!」

「何を?」

「何をぉ?!リサお姉ちゃんが言ったじゃん!サクサク倒してトンカツ食べようって!!」


言いましたね!

ドロップのおかげでうっかり忘れて思わずコントみたいな掛け合いをしてしまったけど。

私が言い出しっぺです!


「あの、その前にボーナスドロップがあるみたいなんですが?」

「「えっ?」」


後ろを振り向くと、そこに鎮座していた宝箱!

裏ダンジョンではボーナスドロップが確定だったりするのかな!

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