113 ボーナスドロップ
「リサ様、この度の戦闘でのご自身の評価はどうですか?」
「あ、えっと。ゴブリンキングを倒すのに力押しになった…?」
久々のじいじのお説教モードに焦ってしまう。
通常のゴブリンキングならこんなことにはならなかったが、強化種ということもあってスマートには倒せなかった。
「通常のゴブリンキングではなかったので、致し方なかった部分もあるでしょう」
「うん」
「むしろゴブリンキングと思って突っ込んで行かず、様子を見たことは良かったです。またクリスにもちゃんと指示を出していましたね」
「うん!」
これはお説教ではなく褒められるパターンなのだろうか。
つい声が上がってしまう。
「しかし!」
と思ったら否定の接続詞…。
思わず、うひゃ!と変な声を上げてしまった。
「力押しになったのはどうしてでしょうか?」
力押しになってしまったのは、ゴブリンキングの攻撃を消滅させる力があったからだ。
だから下手に近づいたら危険だと思い、距離を取って攻撃をしたけど…。
「あっ」
そう言えば、あの結界らしきものを鑑定していない…!
鑑定していれば、もしかしたら攻略方法がわかったかもしれない…!
「固有の能力でなければ、攻略方法だけではなく習得する方法もわかったかも知れませんね?」
「あぁ…」
あの能力が魔法であれば、その魔法の解析ができたら、攻撃を消滅させる魔法を取得できたかもしれないんだ。
「危険が迫っているときに鑑定をしろと言っているわけではありません。けれどさっきの戦いでは鑑定する時間があったでしょう」
じいじの言う通り、相手はまったく動かなかったから余裕で鑑定する時間がありました。
ゴブリンキングの外見に惑わされて、そういうことがスコーンと頭から抜けてしまっていたよ!
「あとですね」
「まだあるの!?」
「あります。自分で心当たりはありますか?」
じいじに言われてからゴブリンキングとの戦いを振り返ると…あった。
クリスが族長のリアさんの庭からこっそり石を持ってきたことに驚いて、ゴブリンキングから目を反らしてしまった
しかもツルツルして攻撃に向かない庭石を投げたことに理解不能になって思考が停止してしまった。
クリスの突拍子もない行動のせいだけど!
だけど、未熟だからすぐ切り替えができなかったのは事実。
「ごめんなさい」
「次はもっと戦いに集中しましょう。クリスは今後は勝手に物を持ち出さない!後で族長に謝っておくようにしなさい」
「は〜い」
クリスは反省していないみたいな返事をしたから、またじいじから無言のアイアンクローをもらった。
クリスもそういうとこは成長しないよね。
そしてクリスにアイアンクローをしたまま、じいじはこちらを向いた。
「後ですね」
「まだあった!?」
「あります」
アイアンクローをしながら真面目に言うじいじの姿がすごくシュールで、真剣に聞きづらいんですけど。
ほら、アイアンクローを受けているクリスは痛いはずなのに、笑いを堪えて震えているよ、じいじ?
しかしそんな状況をものともせずじいじは真剣な表情で指摘を続ける。
「剣をアイテムボックスから直接取り出しました。エルフとはいえ、他の者がいるときにちゃんと使ってもいいと判断した上で使いましたか?」
「うっ」
痛いところを突かれた。
今までだったらそんなミスをしなかったけど、気が緩んでいたみたいだ。
エルフの里では気にせず使っていたから、エルフであるリアンさんの前では何も考えず使ってしまった。
まだまだ実力不足だから、アイテムボックスを公表するのは控えるように言われていたのに。
今回はリアンさんだけだったからそこまで大きな問題にはならなかっただろうけど、これが冒険者ギルド内だったらどんな面倒事に巻き込まれたことか…!
「わかりましたね?」
「はい、ごめんなさい」
じいじは私の身の安全を考えてくれているから、叱ってくれている。
それがわかるから素直に謝った。
物を取る時は必ずマジックバッグに手を入れてから取り出すようにクセをつけないと。
「さて、一旦この場所から出ましょうか。ダンジョンを続けるにしてもここからは繋がっていないでしょう」
ダンジョン探索を続けるにしても、表と呼ばれるダンジョンに出たほうがいいようだ。
ゴブリンキングの後ろは行き止まりになっているようで、ぱっと見た感じ階段や出口は見当たらない。
入り口は閉じられてしまっているけど、壊して入って来たのだからまた壊せばいいのかな。
「あー!宝箱あったよ!」
「宝箱…!」
「ボーナスドロップですね」
ゲームとかでボスを倒すと出てきたりする宝箱!
リアンさんが言うには、冒険者ギルドではダンジョンで魔獣を倒した後に現れる宝箱のことをボーナスドロップって呼んでいるという。
どこか現代からの転生者が考えたようなネーミングだけど、その点はスルーする。
リアンさんが知っている限りでは魔獣を倒した後に出るボーナスドロップであれば、罠とかはないので安全なのだとか。
宝箱の形をした魔獣とかもいないらしいので、安心して宝箱を開けることができる。
「じゃあ開けてみるね!」
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うっかり更新日を間違えました…。
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