111 裏ダンジョンの守護者
ゴブリンキングと上位種5体なら、クリスと私だけでも対応できるだろう。
ゴブリンキングが出てきた場合も、それ以外の魔獣が出てきた場合の対応も決めておきたい。
「ゴブリンキングたちだった場合は私とクリスが対応しよう。私は剣で接近戦するから、クリスは後ろから弓で仕留めて?」
「りょ〜かい!魔力は込めたほうがいい?」
「込めないで!私が巻き込まれそう!」
例えクリスが魔力を込める量を加減したとしても、爆発する光景しか浮かばない。
ゴブリンの近くにいるであろう私もその爆発に巻き込まれる姿が思い浮かぶのはなんでかな。
「リアンさんとじいじはゴブリンキングと上位種5体以外が出たときや、相手の数が多そうだったら加勢するってことでいいかな?」
「それでよろしいかと」
「任せてください」
全員の承諾をもらえたので今回はこの体制で守護者の部屋へ挑戦することになった。
予定よりすごく早い守護者への挑戦になったけど、そこまで不安はない。
どちらかというとワクワクしている。
今までの魔獣は捜索したり襲撃を受けたりで突発の対応になっていたけど、ダンジョンだと前もって心構えができるから、高揚しているんだろうか。
私が片手剣を、クリスが弓矢を構え、突入の準備をする。
「じゃあ開けてね!」
クリスの掛け声でリアンさんが扉に触れると自動で開いていく。
開いた先は洞窟に見えるが、守護者の姿は見えない。
慎重に中に進んで全員が中に入ると、扉は自動的にしまっていく。
そして、部屋の中央が光を発し、守護者を召喚するようだ。
ここまではリアンさんに聞いていた通り、通常の守護者の部屋と同じ動きだ。
「ゴブリンキング?」
現れてきたのはゴブリンキングと思わしき魔獣だ。
けれど通常のゴブリンキングではなさそう。
「図鑑で見たゴブリンキングと色が違う?」
「そうだね、通常は緑っぽい色なのに赤っぽい?《鑑定》」
【ゴブリンキング(裏ダンジョン強化種)】
裏ダンジョン用に強化されたゴブリンキング
通常種の約1.5倍の筋力を有する
正しい情報を得るため久しぶりに鑑定魔法を使ってみると気になるワードがいくつも出てきた。
ツッコみたいけど、今は戦闘中。
気を取り直して念のため上位種5体も鑑定してみたがこちらは通常種だった。
「ゴブリンキングだけ通常より1.5倍くらい強化されているみたい!それ以外は通常と同じ!作戦は変更なしで!」
「作戦変更なしだね!了解!上位種5体から仕留めるよ!」
相手が構える前にこちらから距離を詰めていく。
まずは魔法を使われたら面倒そうなゴブリンメイジの頭を切り飛ばす。
その間にゴブリンアーチャーをクリスが撃破。
残り3匹もその調子でクリスと分担して撃破していく。
ただのゴブリンの上位種じゃ私とクリスの相手ではない。
「配下のメンバー全員倒したのに、まったく動かないね」
「そうだね。でも強化種って言うくらいだから、油断せずに行こう」
相手が何かを準備する暇を与えないように、けれど慌てすぎて相手に反撃を受けないように近づいていく。
もう少しで攻撃の範囲内に入りそうなところで、全く動かなかったゴブリンキングが腕組を解いた。
まるで攻撃を受けるような体勢に嫌な予感がした。
「クリス、弓でゴブリンキングを攻撃してみて。弱めでいいから」
「はーい!」
嫌な予感が当たっていないといいと思いながら、クリスが弓矢を射るのを見守る。
ゴブリンキングはクリスが攻撃の体勢を取っているのに仁王立ちのまま動かない。
「ブォ」
「あっ!」
ゴブリンキングの一声でクリスが放った矢は届く前に消滅した。
攻撃を受ける姿勢だったから、反射はあるかと思ったけど、まさかの消滅。
しかもクリスの矢は世界樹を使用している。
その辺の矢とは比べ物にならないくらい強力なはずなのに、消滅したのだ。
思ったより強敵のようだ。
今のところゴブリンキングは仁王立ちのまま動かない。
こちらが逃走の意思を見せていないから動かないだけか、それとも別の思惑があるのか。
「次は矢に魔力を込めて攻撃して!私も魔法を使うから」
「了解!」
「こちらも忘れないでね《ウォーターアロー》」
クリスも矢を消されたことに警戒しているのか、すぐさま攻撃に移った。
集中力を引くためにひと声かけて、クリスの矢とは反対側を狙い、水魔法で攻撃する。
「グォグォ!」
「っ弾かれた!」
「いや、でも僅かに揺らいだ」
魔力を込めた矢も水魔法も弾かれて消滅してしまった。
だけど左右から攻撃した影響なのか、矢と水魔法が消える直前にゴブリンキングの周囲を覆う結界らしきものが見えた。
このゴブリンキング、見かけはムキムキの癖に魔法かそれに準ずるスキル系統を得意としているようだ。
ムキムキなら物理特化にしてよね!
「クリスは右側から矢を、私は左側から魔法で攻撃する!物量で押してみよう!」
愚痴りたい気持ちを押さえ、次の攻撃について指示を出す。
特殊なゴブリンキングとはいえ、攻撃を消し続けられるのも限界があるはず。
クリスと2人で攻めれば、ゴブリンキングの方が魔力か体力切れになるはずだ。
こうなったら力押しの作戦だ!
「はい!」
《ウォーターアロー》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます