15 素材集め

昨日は回復ポーション作りに没頭したけど、今日は何をしようか?

じいじに相談すると「素材を狩りに行きませんか?」と提案が。


ポーションは初級の回復だけじゃなくて、解毒などの状態回復系や病気を治すポーションもあるそうだ。

回復能力が高くなるほど、集める素材の難易度も上がってくるが、この森には魔獣も薬草も豊富で色々なポーションを作る素材が揃っているそうだ。


今後必要になるかも知れないし、集めた素材で各種のポーションを作る練習をしてもいいのではないか。

冒険者を止めたくなったら、薬師として生活できる力を備えておきましょうと、これまた強く勧誘してくる。

じいじは、薬師にもしくは調薬に何か思うところがあるのだろうか。


アイテムボックスがあるから鮮度が必要なものも安心して備蓄しておける。

作らなくても素材を売ることもできるだろう。

じいじの謎の薬師押しにはちょっと困惑するけど、やってみるのも有りだろう。

そうと決まりやって来ました、森の中!


まずは薬草からだ。

冒険者初日に半日かけて図鑑の内容を覚えさせられた記憶が懐かしい。図鑑の内容を覚えているか確認するため、じいじが採取する薬草を決め、私が探すことになった。

指定した薬草を指定した本数、指定した時間内に集めるタイムアタック式だ。


「レディナ草を10本を10分で」


レディナ草は殺菌作用が強く解毒剤の一つとして使われる薬草で、陽が当たらない木の根もと付近に多い。


ざっと見渡して大きな木や崖がないか探す。

目星をつけた木の根もとに駆け寄り、それらしき草を鑑定する。

よし、ちゃんとレディナ草だ。

運の良いことに、10本以上生えていたので採取してじいじの元へ戻った。

3回ほど行った頃、1種類では簡単だと思われたのか、複数指定の上、更に時間まで短縮されるようになった。

しかも相反する生息地の薬草を指定してきたことから、じいじの鬼畜さがよくわかる。


こうなったら一つ一つ探すなんて悠長なことしていられない。

一つ目の薬草を探す道すがら、鑑定をかけまくって他の薬草がどこにあるのか地図に記録していく。

こうしてどうにか、複数の薬草を手に入れることが出来た。


グルルルゥ

じいじの元へ帰る途中、再びブラックベアーと出会った。

しかし時間が迫っているので、ゆっくり構っている時間はない。

前回同様、風魔法で首を一閃、足を止めることなくアイテムボックスに収納する。

ブラックベアーが出たと言っても、じいじは情けをかけてくれるほど優しくない。

それからは探知を使って、こちらに来そうな魔獣を片っ端から狩って、時間に間に合うようにひたすら走った。


「ギリギリでしたね。何かありましたか?」

「途中で魔獣に出会ってね~」

「ふむ、どんな魔獣でしたか?」


狩った魔獣を覚えていなかったので、アイテムボックスのリストを見直しながら伝える。

ブラックベアー、シルバーウルフ、レッドフォルクス、ジャイアントビー、バブルボア、エルダートレントってあれ?

ブラックーじゃない、イビル?


「じいじ、イビルベアーっていうのもあった」

「イビルベアーですか?この辺りにいたということはブラックベアーを生息地から追い出したのはイビルベアーでしょうかね」


イビルベアーはAランクの中でも上位になるくらいの魔獣らしい。

ブラックベアー同様毛皮や内臓、魔石も高値がつくが、ポーションの材料になるらしい。

しかも芳醇な魔力のためお肉も美味しいとのこと。

これはギルドで解体してもらうべきか。


「ギルドに出すと騒ぎになりそうなので、頃合いを見て私から報告しておきましょう」

「…解体はしないの?お肉は?」


美味しいお肉は早く食べたいなぁと思うけど、だからって目立ちたい訳じゃない。

アイテムボックス内なら腐らないだろうし、今回は我慢することにする。


「薬草類は粗方手に入れられたので、後は魔獣を狩って行きましょうか?」

「やったー!採取しているときから鬱陶しかったんだよね!」

「この森の岩系の魔獣はまだ倒したことがなかったですね?そちらを狙いましょう」


岩系の魔獣だと剣や風魔法では効きにくいかもしれない。最近風魔法ばかりだったから、それ以外の魔法を使って魔法のスキルをあげるためかな。

特化だと倒せる魔獣に偏りが出るから、そうさせないために考えているんだろうな。

じいじの後を着いて行くとやがて岩崖が見えてきた。


「岩系の魔獣の特徴は何でしたか?」

「岩系は岩場や崖付近、洞窟などに多くて、鉱物を餌にしている場合もありますが、基本雑食です!」

「環境に適応して鉱石を纏うことで、外敵から身を隠しやすく、防御力・攻撃力をあげています。」

「探す際は目視じゃなくて、探知を使った方がいいんだよね?」

「そうです。もう少しで生息圏ですから、すぐにスキルを使ってください」


じいじの言葉に頷いて、探知を使う。この辺りにはまだいないようだ。

崖方面に近づくにつれて徐々に増えているのが見えた。

これは気が抜けない。

しばらく歩くと岩崖にたどり着いた。

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