11 チート道具
装備と武器の他に、持っている日用品の確認も行った。
後でお店で冒険者の必需品を聞いて足りないものを購入しておこう。
それじゃあ、まずは必需品から買いに行くことにする。武器とかは拘るから、見るだけでも時間がかかるだろうし。
今日買えなくても、いざとなったら、今の装備でも戦えるから。
冒険者ギルドに向かい、昨日依頼しておいたマッドウルフの肉と素材買取金をもらった。
ブラックベアーは毛皮や内臓、魔石などに高値がついてホクホクだ。半年くらい何もせずに暮らしていける金額が手に入った。
受付のお姉さんに冒険者御用達のお店を教えてもらう。闇雲に探すより安全で正確だ。
お店の店員さんにギルドで紹介を受けたことを告げ、冒険者新人なので、持っておいた方がいいものを教えてもらう。
冒険者なら野宿をすることもあるから、野宿の道具を勧められた。
水筒・火付け道具・湯を沸かせる小鍋・携帯食・解体ナイフ・寝具代わりにもなる防寒マントなど。
あればいいものがテント・食器や調理道具などだそうだ。
解体ナイフや防寒マントはここにもあるが、懐に余裕があるなら鍛冶屋と仕立て屋で買った方がずっと使えてお買い得だと教えてもらった。
お客さん目線で案内できるなんて、流石ギルドで紹介されるだけのお店。
携帯食は持っていなかったので見せてもらったが、小麦粉を練って固く焼き上げたものと干し肉だった。
腹持ちと栄養に特化して、味とか食べやすさとかは一切無視した感じだ。
アイテムボックスがあるから必要ないと切り捨てた。
ご飯が美味しくなければ、人生損するよね!
携帯食以外は手持ちのものがあったが、より良いのがあるかもしれない。
店員さんにお礼を言って、教えてもらった物を順番に見ていく。
えっと水筒は…木製のものから金属製のものもあるけど、水を入れるだけの水筒?
魔力を込めると水が湧き出るものとかじゃないの?保冷保温機能もないの?
まぁ、魔法使いなら自分で出してその水を入れればいいよね?
火付け道具は…火付け石?火花を散らして火をつける?
火が出る石とかじゃなくて?いやこれも魔法使いなら自分でできるからこんなものなのかも。
小鍋は小さいサイズの小鍋だ。
何を言っているかと思われるかもしれないが、持っている鍋は希望のサイズに変形できる鍋なんだ。それも複数あるんですが。しかも保冷温機能付きなんですよ!?
テントはそのままの大きさ?重いし、組み立てが面倒そう。
空間が拡張されてない上、結界機能もないの?
持っているのは畳んでいるのを開けば、一気に組み上がるし、じいじと余裕を持って寝られる広さになるし…。
これはコンロ?火口が2つしかないのに、こんなに高いの?ブラックベアー何頭分?!
ちょっと待って。
じいじが持っているシステムキッチンってこれと同じくらいの大きさだったけど、あっちの方が使い勝手は抜群だよね。
水道もあるし、火口だって3つ、オーブンに、空気清浄機能もある。
このコンロの何倍の価値があるの?ブラックベアー100頭分くらいは軽くかかるんじゃないか?
…どうしよう、装備だけじゃないかも!
普段使っている物でさえ、一般とは違う可能性が出てきた!!
出会った当初から、じいじは凄い!強い!よっ流石スーパー執事!とは思っていたけど、それを上回るチートかも。
じいじが普通に使っていたから、この世界では当たり前のものだと思っていた。
あまりの違いに愕然となる。じいじは判っているのかな、普通と違うって。
恐る恐る視線を向けると、じいじはにっこり笑ったまま。
あっ、判ってて使っていたやつだ。
使えるものがあるなら使っていいだろうと思っているやつだ。
確かにそうだと思う。今まで便利な物を使ってきて、いきなり不便な道具は使いたくない。
火付けは魔法で、テントは見た目普通に見えるから買わなくても大丈夫。
コンロは人前に出さなければいい。
うん、水筒と鍋だけ買い足しておこう。合同依頼とかで同じ冒険者に渡す機会があったら大変だ。
アイテムボックスで重量も気にしなくていいから、不用品になってもいいし。
複数の水筒と鍋を購入し、間違えずマジックバッグに入れるフリをしてアイテムボックスに収納して、お店から出た。
続いて来たのが鍛冶屋。
防寒マントは現状持っているもので十分だろう。寝具も別にちゃんとあるし。だからメインの武器などを購入しに来たのだ。
中に入ると、色んな武器が並べられていた。
入り口近くは無造作に、奥になるにつれてきれいに整頓されている。
手前は新人さん用の量産品で、奥には高ランク用の品物が置いてあるんだろうな。
手前から順に片手剣を見ていくが、新人さん用でピンと来るものがない。
もう少し奥にいかないと合う武器はないみたい。
奥の方を見渡すと、お店の半ばほどが妙に気になる。
「らっしゃい」
「あの、あの辺りの剣を手にとってもいいですか?」
気になった辺りを指差して、声をかけてきた店員さんに尋ねた。
店員さんはじいじに視線を向けると「どうぞ」と許可をくれた。
惹かれるように進むと、とある剣の前に着いた。
周りの剣と比べると小振りなのに、なんか存在感がある。
手を伸ばして、柄のところに触れてみる。
「うん、この子下さい」
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