8 依頼達成

「すみません、薬草納品お願いします」

「あら、ギルドマスターとのお話は終わられたのですか?」

「ライザックさんたちはまだ協議中ですが、私達にはできることは終わったので」


ギルドカードを出しながら、受付のお姉さんに返事をする。

Fランクだし、決定に口出しできる訳じゃないし。

お姉さんもそう思ったのか、頷いて薬草納品の手続きを始める。


「ヒール草は10本1束からの納品になります」

「2人で200束あるんですが、ここに出していいですか?」

「…200本ですか?」

「いいえ、200束です。本数で言うなら2000本ですが」


わかりやすいようにじいじが採取した薬草を積んでいく。

50束を越えた辺りから、山積みになった薬草が傾きそうになっていく。


「ちょ、少々お待ちください!籠を持ってきます」


私の言葉が嘘でないことを理解した受付のお姉さんは身を翻して籠を取りに行った。

流石ギルドの受付嬢、臨機応変な対応です。


「この量を確認するのに少々時間がかかりますが」

「夕方ごろまた来ますね。ギルドカードを一旦返してもらっていいですか?」


大量に納品したから、違う薬草が混じっていないか、ちゃんと2000本あるか、劣化しているものはないかなど調べる時間がかかるのは当たり前だよね。

お昼ご飯を食べようと思っていたし、問題ない。

ついでに午後に予定していた討伐もやってしまおう。



お昼はじいじ特製のサンドイッチとスープを美味しくいただきました。

そしてやって来たのはホーンラビットがよく出る草原。

どうせなら食料になる獲物を狩りたい、余分に狩って備蓄にしてもいいし。

ゴブリンも時折出るらしいから一石二鳥を狙えるかも知れない。


「ホーンラビットはどのように仕留めますか?」

「体が小さいことと、数を狙いたいのでエアアローで首を狙おうと考えています!」


じいじの試すような問い掛けに反射的に答える。

ブラックベアーのように首を落としたら、毛皮が小さくなるし、首と胴体を回収するのも手間。あと受付での確認時間もかかりそうだ。

私の答えにじいじは満足そうに笑って頷いた。

正解したようでよかった。


「草むらに隠れていますから、気付かれないうちに仕留めてしまいましょう」


一般的には草むらにから追いたてて出てきたところを仕留めるそうだが、取り逃がすことも多いらしい。一匹たりとも逃がす気はまったくないので、そっと近寄ることにした。


探知を発動し、前方50メートル先にホーンラビットが集まっているところを発見。

千里眼で首もとを確認、そこにエアアローを打ち込み、仕留めたのを確認して、アイテムボックスに収納。

一連の流れで、ホーンラビット15匹ゲット!

っていいのかこんなに楽で?

チラッとじいじを見るが、にっこりGOサイン。…いいらしい。


その後も同じ作業を6回繰り返し、合計86匹ゲットしました。

うんFランクの常設依頼だもんね、簡単にできても仕方ないよね。

ホーンラビットばかり狩っては他の冒険者に申し訳ないので、次はゴブリンを狙うことにした。


「あれ?森の入り口近くに集落?」

「集落ではないようですが、それでもかなりの数がまとまっていますね」


なぜかゾロゾロ集まっているゴブリンの団体さんを見つけてしまった。

運がいいのか、移動する手間を考えるとありがたいのだが。

問題は本来の生息地からかなり街寄りになっていることだ。

こんな街の近くに集落ができそうものなら、数が少ないうちに討伐されるはずだ。

なのにざっと100匹近いゴブリンに、どうやら上位種のゴブリンソルジャーがいる。


「これ報告してからじゃ間に合わないかな」


ギルドに報告して対応してもらった方がいいのだろうが、この距離だと準備している段階でゴブリンが先に街に着いてしまう可能性がある。

街を防衛できても少なからず負傷者が出る。騒動に紛れて拐われる人が出るかもしれない。


「じいじ、殲滅しようと思うんだけど手伝ってもらっていい?」

「勿論ですよ。ギルドに報告するため魔石と討伐証明は残す必要がありますから、大規模な魔法は控えてください」

「はい、頑張ります!」


まずは数を減らすため、出せる限りのエアカッターを放つ。

いきなり同胞の首が体から離れたことに騒ぎだしたゴブリン達だが、ゴブリンソルジャーの掛け声で冷静さを取り戻した。

逃げられても困るので此方としても良かったが、もうちょっと考えて行動しないとな。

ゴブリンソルジャーがいれば、他のゴブリン達も逃げることはないだろう。ゴブリンソルジャーは最後に仕留めよう。


結果からいうと、殲滅は然程時間がかからず終わった。

しかし大変なのは討伐した後、討伐証明の左耳と魔石を回収するお仕事です。

数の暴力ってあるよね、中腰でひたすら切り刻んでは取っての繰り返しは重労働だよ。

残りの死骸は放置できないので焼却処分。

森の中でも火魔法を使うには燃えるものを近くにおかないことが重要です。


土魔法でゴブリン達の死骸の下に大きくて深い穴を作ってまとめます。

そして穴を超えない高さのファイヤーボールを撃ち込んでいきます。

死骸が全部黒ずみになったのを確認して、土魔法で穴を埋めます。

これでアンデット化も他の魔獣を誘き寄せる餌にもならず、きっと森の肥料になることでしょう。ゴブリンの唯一の活用法だね。

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