第4話 ロリコン探偵の日常
これは事件が起きる一日前の出来事。
彼女たちは何気ない日々を過ごしていたのだが。
「ちょっと安堂。ダラダラしてるんじゃないわよ」
ベットに寝転がり携帯を見ていた俺に注意をしてきたのは赤髪のちょっぴりツンデレなメイドさん。ミコトだ。
「別にいいだろ。仕事ないし」
「だからってこんな朝からダラダラしていい訳ないでしょ。少しは手伝いなさいよ」
「ミコトさん、マスターを注意してばかりではなくちゃんと手を動かしてください」
「うっ、わ、分かったわよ」
ほんのひと言で仕事に戻らしたもう一人の真面目な青髪のメイドさん。ヒカリだ。
「でもマスター。そんなにダラダラしていますと太りますよ」
「あ、あ〜。何だか体動かしたくなってきたな〜。せ、せっかくだし二人の掃除でも手伝うか」
「ヒカリ、あんたって凄いわね」
「ふふっ、そんな事ないですよ」
俺は二人の掃除を手伝うべく動きだした。
それから一時間半後、やっと掃除が終わり一息つくことができた。
てか家が広すぎるんだよな。
「お疲れ様です。マスター」
ヒカリからタオルを受け取り、汗を拭いた。
「にしても二人とも凄いな。これを毎日やってるなんて」
「こんなのなんて事ないわ。それより今日掃除したのはほんのちょっとよ。いつもはもっと大変なんだから」
それは驚愕の事実だな。あれがちょっとなら俺はいつもの掃除をしてしまった途中で倒れる事間違いなしだな。
「マスター、今回手伝って頂きありがとうございます」
「いや俺が手伝いたいって言った訳だし気にしないでいいよ」
「そうですか。ですがせっかく手伝って頂いたので少しお礼というか提案がございます」
「ん、何々?」
「作業をして汗を掻いたと思うのでお風呂でもどうでしょうか?」
成る程、それはいい提案だ。時間的にはまだ昼過ぎだがこう汗を掻いていると気持ち悪くてリラックスできない。それならいっそ風呂に入ってさっぱりすすれば問題解決だな。
「ありがと、ヒカリ。そうさせてもらうよ」
俺はタオルをヒカリに渡し、浴場に向かった。
■■■
「ふう〜、仕事後の風呂は最高だな」
それにしても一人には広すぎるな、この風呂は。
この広さならホテルの風呂と対して変わらない程だし。
自分で住んでおいてあれだけどこの風呂掃除するのマジで大変そうだな。
すると。
「マスター、お背中お流ししますよ」
「ヒ、ヒカリ!?」
「私もいるんだけど」
「ミ、ミコトも。なんで風呂に?」
「何よ。居たら悪いわけ?」
「いやそういう事じゃないけど」
背中を流してもらう分には全くもって問題ない。むしろ問題なのがこの状況を他の誰かに見られる事だ。
そうなってしまってはお縄頂戴に……。
「せっかく来てもらったけど、お、俺はそろそろ上がるよ」
「マスター、まだ入ったばかりですよね?もう少しゆっくりしていきましょうよ」
「あ、でも」
「さあ、マスター」
な、なんて圧だ。
こう言う時はあれしか無い!
「は、はい」
大人しく従う事が大切だ。
「それにしてもやっぱり働いた後のお風呂はいいわね」
「そうですね。マスターもそう思いますよね」
「う、うん」
「さあ、そんなお話は置いておきまして。マスターお背中をお流ししますので湯船から出てください」
「あっ、本当にするんだね」
「勿論ですよ。ね、ミコトさん」
「当たり前よ。さあ早く上がりなさい」
ふうーどうか誰もこの現場に来ませんように。
大人しく湯船から上がり、バズチェアーに腰掛けた。
「それでは失礼しますね」
そういいヒカリは背中にボディーソープを垂らし始めた。
「じゃあ行くわよ」
今度はミコトが体用のスポンジで俺の背中を洗い出した。
「ど、どうなのよ」
「う、うん。強すぎなくて丁度いいよ」
「そ、そう。それはよかったわ」
「次は私がやりますね」
場所を入れ替わったヒカリは、同じく俺の背中を洗い始めた。
「痒い所などありませんか?」
「えっと、首らへんが少し」
「分かりました。ここですか?」
「うん、ありがと」
それから交代交代で俺の背中を洗い、その後無事風呂を後にした。
意外に良かったな。背中洗ってもらうの。
■■■
それから夕食まで時間はダラダラと過ごし、時刻は二十二時。
この時間になると俺は書斎で本を読むようにしている。理由としては単純だ。自分の知識を上げるためだ。探偵をやっている以上知らないというのは致命傷になる。まあ今時ネットで調べれば一発で出てくるかもしれないがいかんせんネットには嘘の情報があるため少々面倒なのだ。その点本はネットより信用できる。だからこうして読んでいるのだ。
そんなページをめくる音だけがするこの部屋にコンコンと音が響いた。
「はい」
「私です」
「どうしたヒカリ。何かあったのか?」
「はい。なのでお部屋にお邪魔してもよろしいですか?」
「勿論、入っておいで」
「失礼します」
ドアが開くと、ヒカリの後ろにミコトの姿が。
しかし二人はいつものメイド姿ではなく、パジャマ姿だった。
「それで何があった?」
「実はですね……。マスターと一緒に寝たいなと」
そういい二人は後ろから枕をだし、ぎゅっと抱きしめた。
「私は別にどっちでもいいけど、ヒカリがどうしてもって」
「そうか。それでヒカリ本当は?」
「ミコトさんが私にお願いしてきたので、代わりにマスターにお願いしました」
成る程。まあ恥ずかしい歳だし分からんでもなが。
「な、なんで本当の事言っちゃうのよ!」
「マスターに聞かれたので」
「だからって素直に言わなくてもいいでしょ!」
「でも俺は素直なこの方が好きなだ〜」
「だそうですよ。ミコトさん」
ミコトは少し気恥ずかしそうに下を向き、ボソボソと何かを喋っている。
俺はその喋っている内容を聞くために近くに寄った。
「……私もあんたと一緒に寝たいんだけどいい?」
「ふふっ、いいよ」
まったくミコトは可愛いな〜。
「それじゃあ本を持って行くから先に部屋で待ってて」
「分かりました。行きましょミコトさん」
「ええ」
さてとどの本を持っていこうか。
出来るだけ二人が興味を持つようなものを……。
「あっ」
俺は一冊の本を手に取り、部屋を後にした。
「お待たせ、二人とも」
部屋に着くと二人は既にベットに座っていた。
「遅かったじゃない」
「ちょっと本を選ぶ乃に手間とっちゃって」
「へ〜。それで今日はどんな本にしたのよ」
「今日はね、この漫画だよ」
持ってきたのは推理漫画だ。
「マスター私は負けませんよ」
「は?どういう事よ」
「今日はこれを読んで犯人を当てたら勝ちって事だよ」
「そういう事ね。私だって負けないから」
それからベットに寝転がり、二人と一緒に漫画を読み始めた。
少しずつページをめくり、二人乃反応を見る。
色々と意見を言い合いながら着実に物語を進めていく。
そんな話をしてながらページをめくっていると横からスウスウと寝息が聞こえてきた。
頭を使って疲れたのははたまた睡魔の所為か。
まあどちらにしろ二人の寝顔が可愛いのは間違いない。
俺はそっと二人に毛布をかけた。
「おやすみ、二人とも」
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