293.石畳にするみたいです。

 帝国では、女神様の加護を受けた人は全て聖女扱いされるそうなのですが、ヒルダも加護を受けてるのでしょうね・・・

 その辺りのことを少し聞きたいとも思いましたので、ヒルダを招いてお茶会をしています。


 「カオリ様にお誘いいただけるなんて、光栄です。」

 「いえいえ、身内のお茶会です。気楽にしてください。」

 仰々しいのは嫌でしたので、本当に身内のお茶会といった感じです。お茶とお菓子を用意して世間話をするといっただけです。


 「ヒルダも、女神様の加護を受けているのでしょう?どんな加護か聞かせてもらってもいいかしら?」

 「カオリ様の加護とは比べものにならないとは思いますが、私の加護は病気にかかりにくいといったものです。うちの村で流行病が蔓延した時も私は罹らずにすみました。」

 「そうなんですね、やはり女神様の加護というのは怪我や病気に関するものが多いのですね。」

 「はい、そう聞いております。あの・・・カオリ様の加護を教えていただくことはできますでしょうか・・・」

 そんなに怯えなくてもいいですよ・・・別にとって食ったりはしませんから。

 「そうですね、やはり病気に罹りにくい、怪我をしにくいといったものですね。同じですよ。」

 「そうなんですね。女神様がお認めになられた聖女様なので、もっとすごい加護をいただいてるものだとばかり・・・」

 ねぇ、レイナ・・・その半目で睨むのやめませんか・・・かなり言っていないことがあるのは事実ですが、全部は言えませんよね・・・

 とりあえずは私も同じような加護しかもらっていませんアピールをしておかないといけません。あとでバレるのは仕方ないですが自分から公にする気はありません・・・こんなこと身内くらいにしか言えませんよ・・・

 その後も、ヒルダとはいろいろ話をして別れましたがいい話し相手になりそうなので、これからもお茶に誘いましょう。




 「ねぇ、アリスが帰ってきたらちょっと出かけたいと思うのだけど、いいかなぁ?」

 「カオリ・・・出かけるってどこに?」

 あっ・・・私が出かけると何かしでかすと思ってるのですね・・・いつもいつもそんなことはしませんよ・・・

 「ちょっと、王国と帝国まで自分で走ってみたいの。アヤハとイロハが作ってくれた道だけど、私が一度も通ってないのもどうかと思うし・・・」

 「そっか、私は帝国からここまで馬車できたし、アリスも王国から来るものね。」

 「だからちょっと出掛けてこようかなって・・・」

 「1人で?」

 「アヤハを連れて行こうかなって・・・」

 「わたしとアリスは?」

 「クラン達の面倒を見てもらえると嬉しいな。流石につれてはいけないもの」

 「う~ん・・・今回はカオリ1人にクラン達の面倒を見てもらったものね・・・」

 「だから、私だけで出かけてもいいよね?」

 「アリスが帰ってきてからもう一度相談ね?」

 アリスに相談すると何か言われそうなので、アリスが帰ってくるのと同時くらいに城を出ようかと思ったのですが、ダメでしたね・・・なんとか許可を得られるようがんばりましょう・・・




 アリスが帰ってきてから相談したのですが、今回は意外と簡単に許可が出ました・・・ただし、ラッセルさんが帝国まで行きたいとの事でしたので同行するようにとのことです・・・

 ラッセルさんがお目つけ役ということですか・・・まぁ、行けるのですからいいでしょう。特に何をするわけではないのですから・・・するのはちょっとだけです・・・


 「女王陛下、お久しぶりでございます。」

 「ラッセルさん、わかってやってますよね?」

 「あはは、一度はやっておかないといけませんからな。お約束というやつです。」

 そんなお約束要りません・・・

 「いつも通りカオリと呼んでください。そうですね・・・女王権限を使って命令しておきましょうか?」

 「いや、これはやられましたな。ではご命令に従ってカオリさんと呼ばせていただきますよ。」

 こんな馬鹿なやりとりをしながら帝国に向かう準備を始めました。

 「ところで、カオリさんの馬車はどちらでしょうか?」

 「えっ?私ですか。私とアヤハはこれに乗って行きますよ?」

 空間収納からバイクを2台出しましょう。砂漠対応にしたちょっと大きめのバイクです。

 「その、カオリさんは女王陛下ですよね?」

 「ええ、そうですけど。バイクに乗ってはダメというわけではないですよね・・・」

 「アリス様がついてゆけというわけだ・・・」

 「何か言いましたか?」

 「い、いえ。何も言ってません。」

 きっと私のことを何か言ってたのでしょうが、アリスから何か言われてたのでしょうね・・・まぁいいでしょう。出かけてしまえばこちらのものです。


 「ラッセルさん、ちょっとゆっくり目で行きたいのですけど、いいですか?」

 「はぁ、別に急ぎはしないので構いませんが・・・」

 それでは、森の中だけでも舗装しながらいきましょう。アリスやレイナには何もしないと言いましたが、森の中だけは舗装したいですからね。

 アスファルトは無理でも、石畳位ならなんとかなると思うのですよ。材料はありますからね。


 そうですね、10キロから20キロくらいずつ舗装しましょう。そのくらいでしたら今の私なら負担になりません。一日3回くらいずつやればいいでしょう。

 「それじゃあ、今日一回目ですね。」

 「あの、カオリさん・・・何をやるんですか?」

 あっ、ラッセルさん以外もいたのでしたね・・・そうですね・・・全部女神様のせいにしておきますか。

 「そうですね、女神様の奇跡ってやつにしておいてください。私がやったわけではないですよ。いいですね。」

 「アリス様・・・注意するよう言われましたがこれは無理ですよ・・・」

 「何か言いましたか?」

 「い、いえ・・・」

 さて、とりあえず10キロほどやってしまいます。少しづつですが、石畳になっていきますね。これなら大丈夫でしょう。


 ラッセルさんが大きくため息をついているようですが、気にしたら負けです。どんどん行きましょう。



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カクヨム

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