286.森を造って貰えるみたいです。
「聖女様、本日はどのようなご用件でしたでしょうか。」
帝国の教会の大司教だった人ですね・・・後ろには王国の大司教様がいます・・・
「女神様にお祈りをしにきました。礼拝堂を使わせていただきますね。」
「どうぞ、ご使用ください。人払いをした方がよろしいでしょうか?」
「特に必要ありませんよ。お祈りをするだけですから。」
2人ともここでは大司教という肩書きですが、トップではないそうです・・・一度この教会の1番偉い人は誰かと質問したところ、2人揃って聖女様ですと答えましたよ・・・
今や、ここが教会の総本山になるそうです・・・女神様に祝福された教会ということなのだそうです・・・別にそれ自体はいいのですが、教会のことに私を巻き込まないで欲しいのです・・・それだけが、教会に望むことでしょうか・・・
それは置いておいて、お祈りをしましょう。今日の本命は女神様にお願いをすることです・・・
『よく来てくれました。待っていましたよ、カオリ。』
私を待っていたって、何かあるのでしょうか・・・
『貴女のお陰で私の信仰度が非常に上がったのです。』
私のせいですか・・・何かしましたっけ?
『現世に女神の使徒がいると信仰心が上がるようですね。お陰でこの世界に干渉できる力が増えました。』
使徒ってなんですか・・・勝手に使徒にしないで下さい・・・
なんでも際限なくできるわけではないのですか・・・女神様と言っても色々制約はあるのですね・・・
『そうですよ・・・女神といえど万能なわけではないのです、カオリもその辺りをわかっておいてくださいね。』
これはなんでも頼むんじゃないぞと言っているのでしょうね・・・まぁ、全て頼るつもりはないのですが、食糧事情はなんとかしたいですからね・・・
「砂漠をなんとかしたいのですが、森を作ってもらうとかは無理そうですか?」
『無理ではありませんが、以前も言った通り、一気にということは出来ません。順番にという形になりますよ。』
「もちろんそれで構いません。」
『では、どっち側を森にしましょうか。今のオアシスから王国までを森にしますか、それとも帝国までにしますか。』
えっ・・・一気に王国までを森にですか・・・そうでしたね・・・私たちの尺度と女神様のそれを比べたらいけませんでしたね・・・
「王国と、帝国・・・半分づつというのは無理ですか?」
『そんな中途半端なやり方でいいのですか?』
全然中途半端ではないと思うのですが、女神様だからってことで納得しましょう・・・これって、アリスたちがいつも私に言っている言い回しですね・・・こんなふうに感じていたのでしょうか・・・
「全然中途半端ではないので、それでお願いできますか・・・私の小さなお願いというのが残っていたはずなので・・・」
『そういえばそんなのがありましたね、今回のこともありますから、このくらいのことでよければもう一度くらいしてあげますよ。』
女神様からすると、この範囲を森にすることが、この程度なんですね・・・
『そうですね、気候とかを変えることもできますから、砂漠を森にする程度でしたらこの程度と言っても構いませんよ。広さ的に制限はありますが。』
そうなんですね・・・この程度なんですね・・・色々悩んだのがバカらしく感じますね・・・
『あなた方が色々考えるのは良いことですよ。カオリが考えて無理だと判断したことは私に相談してくれればいいですよ。この世界が良い方向に向かうと判断した場合に限りますが、力を貸してあげましょう。』
これからも多少なら頼っていいということですか・・・その代わり、自分で精一杯頑張って無理だと判断してからということですね・・・それでもありがたいことです・・・
「女神様、ありがとうございます。これからも相談にくると思いますのでよろしくお願いします。」
『はい。私もカオリを見て楽し・・・いえ、カオリのことを心配しておりますから当然のことです。』
今、楽しんでると言いかけましたね・・・やはり娯楽ですか・・・女神様の娯楽になっているのでしょうか・・・その辺りはどうかと思いますが、色々してくれるので何も言わないでおきましょう。
『それでは、時間のようです。また話をしにきてくださいね。』
教会に戻ってきたみたいですね・・・ほんのわずかな間、目を瞑っていただけだと言いますから、時間の流れが大きく違っているのですね・・・
「ありがとうございます。では城に戻りますので、何か問題等ありましたら城まで報告してください。なんとかできるようにします。」
「ありがとうございます。聖女様。」
聖女呼びはやめて欲しいと言ったのですが、王国の大司教様が小声で「使徒様の方がよろしいですか・・・」などというので、聖女で構わないということにしてしまいました・・・使徒だなんて絶対に呼ばれたくないです・・・
さて、森を作ってくれるとのことなのでアリスと、レイナに報告しましょう。きっと私のことを待っていてくれるでしょうから・・・
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