280.印鑑は使わないみたいです。
建国のための書類って、こんなにあるのですね・・・他国への親書とか面倒です・・・どうせ2人とも身内じゃないですか・・・挨拶に行くだけじゃダメなんですか?
形式上必要なのですか・・・それなら仕方ありませんね…
「アリス、お願いがあるんだけど・・・」
「何?私にできることなら聞いてあげるわ。」
「王国に出す親書なんですけど・・・」
「それはカオリが書かないとダメなやつね・・・残念だけど手伝えないわ。」
レイナの方を見ると・・・
「ごめんなさい・・・私の方も同じです・・・それはカオリが書くべきものなので、ちょっとお手伝いできませんね・・・」
そうですか・・・私が書かないとダメなのですか・・・
「セバス、見本みたいなのがあると嬉しいのだけど・・・」
『カオリ様、それはカオリ様のお言葉を書く必要があると思いますので、見本というのはないのです・・・』
そうですか・・私の味方は誰もいないのですね・・・
「カオリ、あなたが書いたものを見てあげる事はできるから、それとアドバイスかな?」
「そうですね、印象が良くなる言い回しとかもありますので、それを教えることはできますよ。」
2人とも・・・ありがとうございます・・・
2人にアドバイスをもらいながら頑張って書きましたよ・・・2日かかりました・・・だって仕方ないじゃないですか・・・同じ文面じゃダメだっていうんですから・・・
別に見せ合うわけではないので同じでもいいと思ったんですけど・・・ダメなのですね・・・誠意が伝わらないですか・・・ごもっともです・・・
こう言った文書も最初だけだそうです、今後はセバスが書いてくれるそうなのでちょっと安心です。
こんな文書を毎回書かされてたら死んでしまいます・・・絶対に逃げ出しますよ・・・前世の仕事だって、定型文っていうのがあったのですよ・・・これには無いだなんて無理でしょ・・・そう言ったのが得意な訳じゃ無いんですよ・・・
その後も色々、サインとかさせられましたよ・・・この世界って印鑑とか無いんですよね・・ダメでしょうか・・・
「この世界って、印鑑ってないですよね?」
「インカンって・・・どんな物なの?」
あっ、知らないって事はないのですね・・・
「印鑑って、あの血のようなもので押される紋様のことでしょうか?」
レイナは知っているのですね。でも、血で押されたって・・・血判じゃないんですよ・・・多分朱肉のことだと思うのですが・・・本当に血だったら怖いですね。
「血ではないと思うんですが、それだと思います。サインの代わりに使ったりはしないのですか?」
「東の大陸から来る文書にはよく押されていることがありますが、こちらでは使われないですね・・・」
東に大陸があるのですか・・・知りませんでしたね。私の領地が東の方でしたから、あそこからさらに東に進めば大陸があるということでしょうか・・・
「カオリ・・・ダメよ。」
早速釘を刺されました・・・
「なんのことですか?まだ何も言ってませんよね?」
「せっかく船もあるし、東の大陸まで行ってみようかと思ったんでしょ?」
しっかりバレてますね・・・
「この国が落ち着いてからならいいですか?例えば、王位をユウゴあたりに譲った後とか・・・」
「ずいぶん先の話ね・・・」
「寿命も延びたことですし、そこまで急ぎませんよ。20年位後でもいいじゃないですか。」
「カオリ、寿命が延びたってどういうことでしょうか・・・」
「そういえば結婚式の後にすぐバタバタしてしまったので言ってませんでしたね。」
「そっか、レイナにはまだ加護の詳しい話してなかったわね。」
「加護って、女神様の加護ですよね・・・確か、病気に罹りにくくなるとか・・・そう聞いていますが・・・」
多少の加護はあるのですね・・・女神様直々の加護の話をしておきましょう・・・寿命のお話もです・・・
「あっ・・・また目を開けたまま、気を失ってますね・・・」
「普通の人が聞いたらこうなるのは当然だと思うわ・・・」
そういえばアリスも倒れてましたからね・・・
「とりあえずベッドに運びましょう。イロハ、お願いできる?」
『はい、カオリ母様。』
「レイナは気を失っちゃったみたいだけど、カオリはまだ仕事もあるから休んじゃダメよ。」
「今日はそろそろ終わりにしませんか・・・結構サインしましたよね?」
「セバス、後どの位残ってる?」
『今日やって頂く予定のものはだいたい終わっております。』
「アリス、だいたい終わってるって・・・」
「あと少し残ってるって事よね?せっかくだから終わらせちゃいましょ?明日が今日より大変になるのは嫌でしょ。」
そうですね・・・だんだんたまってゆくのは良くないですね・・・どうせ逃げることも叶わないのでしょうから・・・
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